大学院・研究施設

呼吸器内科学分野

概要

東京女子医科大学病院はわが国で症例数の多い施設の一つであり、呼吸器内科では年間の外来患者数は26,000例、入院患者数は560例余となっております。診療は気管支肺炎、肺がん、気管支喘息、COPD、間質性肺炎、睡眠時無呼吸症候群など、感染症から腫瘍、アレルギー、炎症、免疫異常に至るまですべての領域の呼吸器疾患を網羅しております。当分野における研究は、新しい診断法や治療法の開発を目的に、臨床研究に加えて基礎的研究にも力を注いでいます。主な研究対象は、気道や肺の炎症・リモデリング、気道分泌、肺の再生・老化、がん化学療法、肺循環、呼吸リハビリテーションなどで、いずれも各分野のエキスパートがマンツーマンできめ細かい指導を行います。最近では特に遺伝子レベルでの病態解明をめざした分子生物学的研究や細胞生理学的研究が盛んで、今後さらに飛躍的な発展が期待されています。

研究可能テーマ

1. 臨床研究
喘息・COPDの管理と治療に関する研究
喘息・COPDにおける気道炎症、閉塞性換気障害、QOLの低下などに対する新規抗炎症薬・気管支拡張薬の効果とその臨床的有用性を評価することを目的とした研究。
 
慢性気道疾患における気道分泌異常に関する研究
慢性気管支炎、気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎における粘液分泌亢進や気道クリアランス障害のメカニズムの解明を新しい吸入療法の開発を視点に据えた研究。
 
肺がん化学療法の効果解析に関する研究
肺がんの化学療法において、特に分子標的治療薬の効果および副作用を解析し、その有用性について従来の抗がん剤や放射線療法と比較検討する研究。
 
気管支鏡検査で得られた微小検体による肺がん遺伝子解析の研究
気管支鏡検査で得られた肺がん組織検体を用いて免疫組織化学染色やDNAを抽出して肺がん遺伝子解析を行い、また、肺がんを来しやすい慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎との関連を検討し肺がんへの成因を探る研究。 
 
2. 基礎研究
気道リモデリングに関する研究
慢性難治性喘息の病態を念頭に置き、感作動物モデルを用いて杯細胞増生や上皮増殖などの気道リモデリングの形成メカニズムを明らかにし、その予防・治療法の開発を探索する研究。
 
気道および肺血管平滑筋収縮の制御に関する研究
気管支喘息、COPD、肺高血圧における平滑筋収縮の病態を分子レベルで解明するため、単離平滑筋細胞を用いてサイトカイン、ケミカルメディエーター、低酸素曝露などの影響を検討する。
 
気道上皮におけるイオン輸送に関する研究
気道粘膜を介する水分分泌の病態生理を明らかにすることを目的として、上皮細胞におけるイオンチャネルの制御機構を電気生理学的手法によって検討する。
 
再生医療の開発を指向した基礎研究
肺気腫や肺線維症など根本的な治療法がない肺疾患に対する再生治療法を開発するために基礎的な研究。
  
気管支鏡を用いた有用性に関する研究
気管支鏡の新しい手技である凍結生検を用いて肺がんやびまん性肺疾患の診断率向上や安全性の確立を目指した研究。

感染契機の喘息発症・憎悪メカニズムに関する研究
気管支喘息モデルを作成し、STING経路を介したアレルゲン感作において検討する。
 
気道上皮バリア機能の解析と免疫応答の研究
培養気道上皮細胞を用い感染モデル、タバコ煙刺激を行いタイトジャンクション関連分子の探や気道バリア機能低下に対する創薬の開発を目指した研究。

スタッフ紹介

教授・基幹分野長:多賀谷 悦子
特任教授:近藤 光子
講師:八木 理充
講師:有村 健


 

医学研究科