救急医学分野
概要
本学救急医学分野は、1995年に講座として開設されました。また、これに先駆け1989年に東京女子医科大学病院救命救急センターが設立され、当時は旧第二外科学教室(濱野恭一元主任教授)の救急グループとして属し、発展しました。濱野元主任教授が退任後、1996年に鈴木 忠 元主任教授が救命救急センター長、主任教授に就任し、現在の本邦の救急医療、救急医学の礎となる講座を構築しました。その後、矢口有乃前教授・基幹分野長を経て、2024年5月より森 周介現教授・基幹分野長が救命救急センター長に就きました。救命集中治療室の管理、一次、二次救急診療部門(EmD;Emergency Division)の運営、DMAT(Disaster Medical Assistant Team)への参画などを行い、国際学会発表、海外留学など国際交流が盛んな分野を目指しています。
教育内容
医学部入学時のオリエンテーションで、新入生を対象に行うBLS実習が救急医学を学ぶ最初の機会となります。医学部第3学年での研究プロジェクトでは、毎年1名の学生を受け入れ、学生がそれまでに学修してきた内容の中で興味のあること(自身で込み上げてくる疑問や知りたいこと)を面談で話を聞きながら引き出し、研究立案から発表までを指導しています。毎年、研究成果を救急医学領域の学会で発表してもらっています。
医学部第4学年では、至誠と愛の実践学修講義で、一般教養としての「災害医療」、救命救急医療系の講義で「救急医学」「救急医学総論」「ファーストエイド」「心肺蘇生法」「救急医療の診断学と症候学」「救急医療の治療手技」「中毒」「災害医学」「特殊救急」「外傷学」「救急医療に関わる法的問題」「集中治療医学総論」「敗血症と多臓器不全」「ECMO」、診療の基礎の講義で「ショック」「外傷・熱傷」「心肺蘇生」と救急、集中治療領域を満遍なく学ぶことができます。実習においては、臨床実習前に、気道確保、気管挿管、輪状甲状靭帯切開術をシミュレータで行います。他には、ファーストエイドとして包帯法や止血法、OSCEに向けての心肺蘇生法BLSも行っています。医学部第5学年では、臨床実習必修で本院、附属足立医療センター、附属八千代医療センターの3施設いずれかを4週間回ります。新型コロナウイルス感染症拡大前は、救急車同乗実習、夜間当直実習も行っていました。講義では、病院実習総論で「患者の権利」また「倫理的判断」と「脳死と臓器移植」についてのワークショップがあります。コロナ禍前の「倫理的判断」では、看護学部第4学年、早稲田大学(人間科学部、法学部、文学部)との合同のワークショップで早稲田大学講堂にて行っていました。他学部の同世代の学生とのディスカッションで、医師のプロフェッショナリズムも再認識するワークショップとなっています。また、Student doctorとしての参加型実習ですので、第6学年での選択実習時には初期臨床研修医と同等の受け持ち医、手技を可能な限り行ってもらっています。OSCE対策、国家試験対策も講義で行います。
研究内容
当分野の中心となる研究内容は
1)敗血症の病態生理と診断、治療に関する研究
2)心肺蘇生後症候群の予後と治療に関する研究
3)救急集中治療領域における終末期医療に関する研究
4)災害発生時の医療機関の役割に関する研究
5)薬物過量服用の動機に関する研究
6)高齢者救急に関する研究
7)医学部教育における救急診療、診断学の手法に関する研究
8)中枢神経興奮薬および麻薬の致死作用に関する研究
となります。
救急、集中治療、中毒の領域では、一例一例の症例報告も貴重な発表であり、国内学会では症例報告を中心に、海外の学会は臨床研究発表の場としています。Society of Critical Care Medicine, International Symposium on Intensive Care and Emergency Medicine, European Society of Intensive Care Medicine, International Sepsis Forumに採択100パーセントで発表しています。 基礎医学系分野、他大学、学会主導による共同研究も活発に行っています。
スタッフ紹介

- 臨床教授
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武田 宗和
- 専門領域
- 外科系救急
救急外来