ごあいさつ
口腔外科領域は、人間の生命維持に大切な「食べる」という機能に大きく関わるだけでなく、視覚的に病態が捉えることができるため、良好な治療結果だけでなく整容的改善をも強く求められる領域です。さらには、感染の入り口でもあり、口腔衛生状態が循環器系・呼吸器系疾患や頭頸部外科手術・消化器外科手術の術後合併症と密接に関連することが明らかになっております。
私は、2020年4月より東京女子医科大学歯科口腔外科学講座口腔顎顔面外科学分野の教授として就任致しました。本分野の特徴としましては、親知らずの抜歯、嚢胞や良性腫瘍の手術、歯の再植術・自家移植術などの口腔外科領域全般の治療をベースに、その中でも主要である『咬合再建』を目的とした顎変形症治療、口腔顎顔面外傷治療、口唇口蓋裂治療、デンタルインプラント治療を中心に診療を行っております。特に顎変形症治療に関しましては、一般的に広く用いられている下顎骨切り術、上顎骨切り術のみならず、上顎・下顎の部分的な骨切り術、下顎骨体部骨切り術、オトガイ形成術、上顎骨延長術など多様な手技を有しており、細かい病態に応じたオーダーメイド治療が可能となっております。
研究においては、主に再生医療実現化を目指し、歯髄幹細胞、中枢神経系幹細胞、脂肪幹細胞研究を主体とした三次元骨再生や歯周組織再生の基礎研究から臨床研究を行っております。国内の再生医療研究を行っているトップクラスとの多施設共同研究だけでなく、フランフルト大学、米国コーネル大学、コネチカット大学、華僑大学と基礎・臨床のグローバルな研究展開をも行っております。また、特定臨床研究の開発にも取り組んでいます。
教育においては、口腔外科医である前に「歯科医師」であることを念頭に置き、患者接遇から始まり、良質な医療を提供する上で全身状態を十分に把握でき、有用な歯科口腔外科疾患の診断と治療の提供が可能な歯科医師の育成に努めています。 さらには、国内外のネットワークを駆使し、臨床および研究留学を経験させ世界に通用する人材育成を目指しております。
本学の信念である「至誠と愛」そして建学の精神に基づいて高い知識・技術を有すると共に病を癒す心を兼ね備え、高度かつ良質な医療を提供でき、社会に貢献する分野にしていく所存です。 よろしくご指導のほどお願い申し上げます。