外来案内
( 患者さん・ご家族へ)

顎口腔外科学分野・
口腔顎顔面外科学分野

矯正歯科

近年、歯科矯正治療を受けられる方が増えてきています。これは、現代人の食べ物が軟食化にあることで咀嚼回数が減り、顎が小さくなり、歯と顎の大きさに不調和が生じることで、歯並びが悪い人が増えたことも一つの要因といわれています。一種の現代病ともいえるでしょう。

実際、歯並びが悪いとどのような弊害があるのでしょうか。「歯並び」というとつい前歯の歯並びだけを考えてしまいがちですが、歯並びが悪いということは「咬み合わせ」が悪いということなのです。上下の歯の咬み合わせが悪いと、むし歯や歯周病,顎関節症などを引き起こすともいわれています。

また、歯並びが悪いことに対するコンプレックスから、精神面にも影響を及ぼすこともあります。 では、歯並び、咬み合わせが悪い場所にはどのような治療をしたらよいのでしょうか。一つには補綴治療といって、詰め物、被せ物や差し歯など人工材料を使って修復する方法、もう一つは歯に装置を装着し、ワイヤーに力を加えて良い咬み合わせの位置へ歯を動かし、自分の歯で咬み合わせを再構築する矯正治療です。どちらも適応する症例としない症例があり、またメリット、デメリットがありますので、専門の歯科医師の相談を受けることが望ましいと思われます。 日本でも、八重歯がかわいいといわれたのはもう昔のこと。ますます国際化が進む社会では、美しい歯並び、良い咬み合わせは、重要な資質となるでしょう。

矯正歯科装置について(当院では表側の装置のみとなります)

当院では表側のみの矯正歯科装置を使用しており、裏側矯正歯科装置は扱っておりません。前歯はセラミックの装置(白い装置)を使用しますが、奥歯、ワイヤーは金属の装置を使用します。

矯正歯科外来診療日について(平日、火曜日、金曜日の完全予約制となっております)

矯正外来診療日は完全予約制の火曜、金曜日の平日9:00~16:00となっております。(日時、時間の変更がある場合がございます)。

矯正歯科治療の流れ

  1. 初診・相談
    どこが気になるのかなどを聞き、口腔内の状態、顔、口元などを見て、おおまかな治療法、期間、費用等について説明します。
  2. 精密検査
    歯や顔、口元の写真や、歯や顎の骨のエックス線などを撮影、歯型の採取などを行い、矯正に必要な資料を集めます。
  3. 診断
    具体的な治療法(使用する装置、治療期間、費用など)について説明します。
  4. 装置除去・保定開始
    歯につけていた装置を外し、獲得された良い噛み合わせやきれいな歯並びが元に戻らないようにリテーナーという取り外し可能な保定装置を使います。(使用期間は、個人で差があります)。
  5. 保定終了
    保定期間が終わったら、矯正治療は終了です。

歯並びが悪いとどんなことになるでしょうか?

  1. 食べ物をかみ砕く機能が低下する。
  2. そのために、食物の消化吸収が低下し、健康を害する恐れがある。
  3. 歯磨きがしにくく虫歯になりやすい。
  4. 歯肉が炎症を起こしやすく、歯槽膿漏にもかかりやすくなる。
  5. 正しい発音が出来ない。
  6. 口元が醜く、人にいやな印象を与える。
  7. 劣等感が芽生え、精神面に悪い影響を与える。

このように歯並びが悪いことによって起こるいろいろな問題を、体の成長発育を上手に利用して顎や口の本来の働きを取り戻すために、機械的、機能的な方法を応用して、そのひとの個性に最もよく調和した正しい姿に戻してあげようというのが歯科矯正学であり、矯正治療なのです。また近代医学がそうであるように、歯並びが悪くならないように予防することも、私たちのもう一つの大きな役目であり、むしろそれが本当の仕事なのです。

悪くなってしまったものを治すには、長い時間と多くの費用がかかります。いまわしい癌や他の病気の場合と同じように、ここでも早期発見早期治療があくまでも根本的原則です。そのためには、定期的に検診を受け、お口に関心を持つことが大切です。

矯正歯科治療 Q&A

Q、何歳頃に相談したらいいの? また、年齢制限はあるの?
A、症例によって治療開始時期は異なります。不正に気がついた時点で相談されるのがよいでしょう。年齢制限は、基本的にはありません。歯と歯周組織が健全でしたら何歳でもできます。
Q、治療期間や費用は?保険は効くの?
A、症例によって、期間や費用は異なります。本格的な治療においては月に1〜2回の通院で3年位(保定期間を除く)かかります。また矯正治療は自費診療になりますので、保険は適用されません。
Q、歯を抜くことはありますか?
A、もちろん歯を抜かないで治療ができるにこしたことはありませんが、不正の程度が大きい場合などは抜歯が必要なこともあります。咬み合わない歯が多数あるよりも、歯の本数が減っても残りの歯が正しく咬み合うことが大事だと考えます。
Q、目立たない装置はあるの?
A、以前は金属製の装置が主流でしたが、今は審美性の高い半透明のセラミックの装置もあり、それほど目立たなくなりました。ただし、裏側からの矯正歯科治療は当院では扱っておりません。
Q、痛くないの?
A、歯に弱い力をかけて歯を動かしますので、初めて装置をつけたときは3〜4日程度は痛くなりますが、1週間位で慣れます。
Q、矯正治療中のむし歯が怖い!
A、装置がついていても歯磨きをきちんとすれば、むし歯にはなりません。むしろ悪い歯並びで一生いる方が、むし歯になりやすいといえるでしょう。

歯科矯正治療の受診について

治療について
  1. 長い時間かかります。
    虫歯の治療や、抜歯、入れ歯などと違って短期間で治るものではありません。治療期間は症例によって異なりますが、3〜4週間に1回を原則にして治療の難しい人ほど期間もかかります。経過観察の場合は、2〜6ヶ月に1度様子を見させてもらいます。

  2. 本人のやる気とご家族の協力と理解がなにより必要です。
    長期にわたることですから治療を始める前に、お互いに理解することがとても大事なことです。治療のあらましについて良くおわかりになりましたら、ご家庭でしっかり相談なさってください(できれば学校との連絡をとられたうえで)。充分通院できる見通しがつき次第治療にとりかかりたいと思います。
    治療を始めましたら、指示に従って規則正しく通院してください。せっかく治療を始めても途中でおやめになるのではなにもなりません。なお、3ヶ月以上無断でお休みになった場合は、私共にも責任をもちかねますので契約破棄されたものとみなして取り扱います。

  3. いろいろな検査
    どうして悪くなったか、どこがどんなふうに悪いか、どうしたら良くなるかを知るためには、詳しく調べなければなりません。このために、歯の型や詳しいかみ合わせ、口や顔の写真、歯や頭のエックス線写真などをとらせていただきます。この検査結果をもとにして、治療方針、内容、期間、料金などについてお話いたします。

矯正歯科治療費用について
初診料・相談料 3,000円(税抜)
検査料・診断料 60,000円(税抜)
成人矯正料 800,000~1,000,000円(税抜)
小児、部分矯正料 400,000~500,000円(税抜)
処置料 3,000~5,000円(税抜)
その他 抜歯、CT費用、マウスピース矯正など 保険適用外費用(担当医に確認して下さい)。

初診料・相談料
初回御来院の時に矯正治療について相談や説明します。

検査料・診断料
相談の結果、検査を希望される方は、歯の型、エックス線写真などの詳しい検査が必要に応じて行われます。

矯正料
矯正料金は治療内容や難しさによって異なり、診断時に決定します。ただし、虫歯の治療、抜歯、手術、義歯等、矯正治療以外の料金は含みません。
唇顎口蓋裂の患者さんの矯正治療には、保険が適用されます。また、育成医療の申請も出来ます。

処置料
毎回の装置の調整や交換など。

納入方法
支払いは一括支払いと分割払いがあり、矯正歯科治療開始時に納めていただきます。いったん納入された費用は返却いたしかねますので、転勤などで治療を中止することがないようにしてください。また、その可能性のある方は、なるべく治療開始前に御相談ください。

矯正料金の追加
患者さんの不注意による装置の破損、紛失等が度重なる場合には、その実費を請求することがあります。

その他

  • 治療上必要な注意事項を守れない場合は、治療の継続をお断りすることがあります。
  • 夏休みなどで、しばらくおいでになれないときは、あらかじめ御相談ください。
  • 器械の使い方や、注意していただきたいことなどについて、説明したいこともありますし、保護者の方とのチームワークをはかるためにも、初めの数回はお子様と御一緒においでください。
  • その他なにかわからないことや意見などがございましたら、御相談ください。

マウスピース矯正歯科治療

ブラケット、ワイヤーを使用しないで、着脱可能で透明なマウスピース状の装置で歯を動かす、アソアライナーという矯正装置です。
手軽に治療可能ですが、適応症例が限定されるので、良く理解した上で治療を受けられますようお勧めいたします。