顎関節症
顎関節症とは、顎の関節や咀嚼筋(顎の周りの筋肉)の痛み、開口障害(口が開きにくい、開かない)、関節雑音(顎の関節の音がする)などの症状を主とする慢性疾患の診断名です。
顎関節症は潜在的な症状の方を含めると約6~7割の人がかかっているといわれており、一般的な病気です。頭痛や腫瘍、隣接器官(歯および歯周組織、鼻・副鼻腔、耳、咽頭など)の疾患、精神疾患、神経疾患などは顎関節症に含みません。顎関節症は一つの要因によって引き起こされる病気ではなく、多くの要因が積み重なって生じる疾患です。日常生活で、顎または咀嚼筋に負担をかけるような因子を取り除く事で症状が軽減することも多いです。
治療法
顎関節症に対する具体的な治療法としては、消炎鎮痛剤などの薬物療法、マウスピースによる治療、運動(口をあける訓練など)療法、理学療法などの保存的な治療法が主に行われます。
第一選択にはなりませんが、重度の開口障害を有する顎関節強直症、変形性顎関節症、顎関節に生じた腫瘍の治療、習慣性顎関節脱臼の治療では、顎関節開放手術、顎関節鏡視下手術などの外科療法が行われることもあります。また、保存療法と外科療法の間に位置する治療法としてパンピングマニピュレーション(顎関節への注射)療法、顎関節腔洗浄療法があります。非復位性の顎関節円板障害 (III型)に対しては、開口障害出現後になるべく早期に行うことが重要となります。もし日常生活に支障を生じるような口を開けた時の痛み、口が開けにくいなどの症状を自覚した時は早めに専門医療機関への受診をお勧めします。
顎関節症の病態分類(2013 年)
- 咀嚼筋痛障害 (I型)
- 顎関節痛障害 (II型)
- 顎関節円板障害 (III型)
a.復位性
b.非復位性 - 変形性顎関節症 (IV型)