透析導入入院
血液透析導入入院
血液透析を開始するための入院です。 バスキュラ・アクセスがすでに作成されている場合は、入院後速やかに血液透析を開始します。そうでない場合は、首の血管(内頸静脈)あるいは足の付け根の血管(大腿静脈)にカテーテルを挿入し、それを使って血液透析を開始します。入院中に内シャントなどのバスキュラ・アクセスを作成します。
1.血液透析導入に際して
- 体に急激な変化(不均衡症候群)を起こさないように、初めは短時間でマイルドな透析を行い、徐々に慣れてもらうようにします。
- 透析を始めることにより、不要になる薬(炭酸水素ナトリウムなど)を含め、降圧薬など内服薬の調整を行います。
- 食事も腎臓食から透析食に変更になります。塩分制限やカリウム制限は変わりませんが、蛋白制限は緩やかになり、むしろしっかり摂ってもらうことになります(体重あたり1.2g程度)。そのため必然的にリンの摂取が多くなってしまうので、リンを多く含む食品(できればリストアップしたい)の摂取を制限する必要があります。
- シャント管理や体重管理など血液透析における注意点について学びます。
2.入院期間は?
内シャントが作成されていて、穿刺可能であれば約8日から2週間程度の入院です。緊急で透析が必要となった場合は、内シャントを作成後から穿刺可能となるまでの約2週間の入院期間が追加になります。
3.退院後は?
退院後は、ご自宅近くの透析施設(病院や透析クリニック)で血液透析を継続します。そのため、入院している間に、退院後に通院する透析施設を決める必要があります。
4.費用など
入院費用は、透析導入のみであれば、2週間程度で約20万円程度です。 透析療法導入後に利用可能な制度として長期高額疾病の高額療養費制度があります。この制度の受給者証「特定疾病療養受領証」をうけることによって1か月の自己負担額が所得に応じて1万円か2万円に減額されます。透析導入の入院費用も減額されます。
また、透析患者さんは、「身体障害者1級」に相当するため、その手続きも行います。
腹膜透析(CAPD)導入入院
腹膜透析を開始するための入院です。 皮下にカテーテルが挿入されている場合(段階的導入)は、カテーテルを外に出す手術(カテーテル出口部作成術)を行います。術後は腹膜透析液を注入しはじめます。 透析導入前にカテーテルを皮下に埋め込んでいない場合は、腹膜透析用カテーテル挿入術を行います。術後は傷が癒えるまで約1週間、お腹の中は洗浄、少量の液の貯留を行います(コンディショニング)。
1.腹膜透析(CAPD)導入に際して
- カテーテル挿入部の消毒やバック交換の手技を習得します。
- 緊急時の対応をマスターします。
- 血液透析導入と同様に、内服薬の調整を行います。
- 食事も透析食に準じますが、腹膜透析液にはカリウムが含まれていないので、カリウム制限は不要で、むしろ適正にカリウム摂取を行う必要があります。
2.入院期間は?
個人差はありますが約1週間程度の入院です。 コンディショニングが必要な場合は、さらに1週間が必要になります。 夜の機械(APD)使用する場合は、その練習のためにさらに約1週間必要になります。
3.退院後は?
当院のCAPD外来に通院となります。
4.費用など
入院費用は、CAPDカテーテル挿入と導入の4週間で35~40万円程度です。 透析療法導入後に利用可能な制度として長期高額疾病の高額療養費制度があります。この制度の受給者証「特定疾病療養受領証」をうけることによって1か月の自己負担額が所得に応じて1万円か2万円に減額されます。
導入の入院費用も減額されます。 また、透析患者さんは、「身体障害者1級」に相当するため、その手続きも行います。