ごあいさつ
腎臓は常に全身臓器とクロストークしながら生体のバランス維持に中心的な役割を担っています。今や国民病とも言われる慢性腎臓病(CKD)ですが、腎臓が悪くなると、心臓、骨、腸など全身の臓器が障害されることが知られています。
私たちは、腎臓病のみを診るのではなく、腎臓病を入口として、身体的・社会的・精神的背景が異なる患者さん一人一人の全身を診ることができる医師でありたいと考えています。外来での一期一会を大切にしながら、本学の理念である「至誠と愛」の精神に則り、誠実な医療および安全な医療の実践に努めています。そのため、患者さんのさまざまなニーズに応えるために、豊富な診療経験と人間性を備えた医療人を育てることを目標にしています。
全身を診るということは、患者さん1人1人の病態の違いを見極める力が求められます。病態の違いを見極めることで生まれるベッドサイドの「なぜ?」を臨床研究として発展させ、目の前の患者さんのみならず明日の医学に貢献することができる醍醐味を、多くの医療者に知ってほしいと願っています。
当腎臓内科は、1973年1月に初代主任教授である杉野信博先生が着任されて以降、二瓶宏名誉教授・新田孝作前教授の時代を通じて、常に「患者さんとともに」をキーワードとして良き臨床医を育てる体制を築きながら、最新の腎臓病治療に関する研究を数多く行って参りました。また、腎臓病総合医療センターとしてあらゆる腎臓病の診療を行ってきた豊富な実績があります。
医療はチームプレーであり、患者さんと医療者、医療者同士、施設同士において十分なコミュニケーションを取りながらワンチームで医療を実施していく必要があります。私たちはチームワークを重視し、透明性・公平性を持った、男女ともに働きやすい職場環境に積極的に取り組んでいます。当医局は学閥がないため雰囲気がよく、研修医教育も充実しており、国内外留学の機会にも恵まれています。当科と連携が深い臨床研修指定病院が多く、様々な生活環境に応じた研修先および就職先が充実していることも特徴の一つです。これらの優れた伝統を大切にしながら、次世代を担う優秀な腎臓内科医を数多く育てていきたいと考えております。今後ともご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。