大学院修了生の声
修了生の声 1
看護職生涯発達学
戸塚 絵巳さん
病気で苦しむ人々の支えになりたいと思い、看護師になってから、14年が過ぎました。医療の高度化・専門化は高まる一方であり、単に管理職を目指すだけではなく、専門看護師や認定看護師を目指すなど、看護職者が選択できる道も拡大しています。人口の高齢化も深刻な問題であり、今後ますます看護職への期待も高まっていくと思われます。こうした状況の中、自分に何が出来るのか、本当に目指したいのはどこなのか、改めて看護について学修する中で本音と向き合ってみたいと思うと同時に、他の看護職者がどのようなキャリアプランを描いているのか知りたいと思い、看護職生涯発達学への進学を決意しました。
現場の風を感じていたいという思いから、現在時間短縮勤務をしながら学んでいます。学部生の時には分からなかったような理論の意味や、多くの本に出会い、自分の中で混乱していたことが整理できること、学んだことと臨床現場で実践が結びつくことは、大きな発見であり、看護職を続けていこうと思える動機づけになっていると日々実感しています。大切な仲間との出会いもありました。今後も、大学院で学ぶ中で、看護の専門性や可能性を探求していきたいと思います。
修了生の声 2
がん看護学
木原 円子さん
がん治療は入院治療から外来や地域での在宅治療が主流となってきていますが、外来看護が行き届いていない現状があると感じ、病院と在宅との連携に携われればと考え、がん看護専門看護師を目指すことにしました。がん患者が自分の力を引き出し、自身の問題や苦痛に対応するためのケア、自己効力感を得られるケアについて考えています。今までの臨床経験を自分の中で知識として言語化していくことの難しさはありますが、患者さんから学ばせていただいたことを次につなげるために必要だと思い、取り組んでいます。
修了生の声 3
ウーマンズヘルス
篠 恵さん
私は日々助産師として業務をする中で、人に伝える難しさと重要性を感じ、その方法を学びたいと考えて大学院進学を決意しました。
院生生活は臨床・学修・学会参加・家庭と自分のやるべきことが格段に増えましたが、時間をやりくりし充実した日々を送っています。プレゼン中心で学部とは全く違う授業の進め方で初めは戸惑いもありましたが、他領域の院生とのディスカッションは今までの自分と違う視点から考えることが出来、大変に参考になります。現在、様々な場面で知見を分かち合いながら考えを深めていっている最中です。そして、何より臨床で実施してきたこと・目にしてきたことの現状や課題を考えていくことに意義を感じています。働きながら学べる醍醐味はここにあると思います。
また、専攻領域であるウーマンズヘルスは周産期だけでなく、女性のライフサイクルに沿い幅広い分野の専門の先生方から学べ、自身の助産師としての更なるスキルアップにつなげられると思います。今後は修士論文という大きな課題に取り組みます。幾度となく壁にぶつかり悩むことと思いますが、今後の糧となる大切な時間のため目標を定めてあきらめることなく探究していきたいと考えています。
修了生の声 4
精神看護学
徳田 由希さん
私は神経内科・精神科に9年間勤務する中で、日々の看護も目指すゴールもすべてのことに限界があると感じていました。しかし、大学院で学び、また当事者の方や仲間、恩師・先輩方との出会いを通して自分の世界が狭かったことを感じました。
学び続けることや自分に向き合うことは時としてとても辛く感じることがありますが、大学院には同じ苦しみを分かち合う仲間がいます。実習では自らの至らない点を痛感させられましたが、仲間に支えられました。
看護師は特徴として、どうしても「問題志向」になりがちです。しかし、その人らしさを考えていく上ではその人の「Strength」に注目する必要があります。当事者もメディカル・スタッフも各々のストレングスを発揮して生き生きとその人らしい生活を送って欲しい。大学院では看護師としての、また人としてのあり方を考えさせてくれます。一人ひとりが生き生きと生活できるように、私はその人を応援する存在でありたいと考えます。
修了生の声 5
看護職生涯発達学(博士後期課程)
岡本 恵子さん
私は看護師になって20数年が過ぎました。「もう看護師には戻らない」と病院を辞めたこともあります。
看護師として再出発をするとき、私はいつも「患者さんに寄り添いたい」そんな思いでスタート…でも気づくと「たまには笑って」と患者さんにも言われるような多忙な毎日。自分は何のために看護師をしているんだろう、そんな思いを抱きながら、でも、たまに訪れる「看護師でよかった」という喜びが麻薬のように…臨床にこだわり働き続けていたのはそんな経験があったからだと思います。看護師は毎日さまざまな患者さんと対峙しながら、悩みながら、問い直しながら、そして喜びを感じながら看護し続けています。
私は看護職生涯発達学を専攻し、看護師一人一人の成長やキャリアを転職という視点を通して研究しています。看護師の現場の実践と理論を結びつけながら、看護師が働き続けることの意味を看護教育と看護管理の双方から探究できる領域です。看護師はさまざまな理由で離職を選択します。でも、一息つくと再び看護師に復職する人も多くあります。いつまでも働き続ける看護師を支援できる人になりたいと思っています。
修了生の声 6
地域看護学(博士後期課程)
上野 美紀さん
私はこれまで、病棟における糖尿病看護や組織の生活習慣病予防を中心に看護を実践してきました。現在は、組織の特性を踏まえた生活習慣病予防のアプローチ法を検討しています。大学院では専門領域に造詣が深い先生方、社会人経験の豊富な院生とのディスカッションを通して、改めて看護学や自分の組織の課題を考える機会になっています。これまでの自分の経験によって偏った思考過程を一旦崩さなくてはならないこともあり、苦しい時期もありましたが、先生方の温かいサポートによって自分の研究疑問を見失うことなく進めていく事ができています。
研究や学問を深めるほど、疑問が解決できたり、更に悩ましくなったりしますが、得られたデータは苦労した分、また多くの方の協力があった分、とても大切なものになっています。これらのデータを大学院で修得した知識や技術を活用して分析し、新たな知見を言語化していく過程は、本当に興味深いものです。研究結果を組織の健康管理支援へ活かしていくとともに、研究の面白さを後輩に伝えていきたいと思います。
修了生の声 7
老年看護学(博士後期課程)
山崎 千草さん
私は、当大学院の博士前期課程でクリティカルケア看護学を修了後、急性・重症患者看護専門看護師として当大学病院で働いています。CNSには、卓越した実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究という6つの役割があります。博士前期課程では、その基礎知識を中心に学び、実践を通して自分なりのCNS像を見出してきましたが、研究分野では自分の力不足を感じることが多く、研究について学ぶ必要性を感じていました。
最近では、私の専門であるクリティカルケア看護領域でも高齢化の波が押し寄せており、集中治療室に入院する患者の8割以上が65歳以上の高齢者ということが多くなり、自分の専門分野だけでは、対応に苦慮することが増えました。これまでの経験を活かしながら老年看護について学ぶことで、専門のクリティカル看護領域を広げることができるのではないかと考え進学を決めました。迷いながらも進学について決心することが出来たのは、学生の個性を尊重することを第一に考える、当大学の方針があったからこそと感じています。また、老年看護学講座の先生方は、指導に非常に熱心で、望めば望むだけのものを吸収できる環境を整えて下さっていると思います。一人前の研究者として巣立つことが出来るように頑張りたいと思います。