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ごあいさつ

2021年5月17日
東京女子医科大学病院リハビリテーション科教授・診療部長
東京女子医科大学大学院医学研究科リハビリテーション科学分野基幹分野長
若林 秀隆
猪飼哲夫 教授

東京女子医科大学病院でのリハビリテーション(以下、リハ)は、1952年に理学療法(PT)部門が開設し、1966年に病院中央診療部門にリハ部ができました。リハの歴史は、50年を超えています。その後、2009年にリハ科の設置が認められ、2010年から現在の第1病棟1階でリハ科の運用を開始しました。初代教授である猪飼哲夫先生が中心となり、リハ科を運営、発展させてきました。そして、2020年6月に私が第2代教授として就任させていただきました。

リハ科の対象には、運動器疾患、脳血管疾患、呼吸・心臓・腎臓・肝臓の内部障害、がんや熱傷後、脳性麻痺や二分脊椎などの小児、切断後などの義肢装具、重症疾患(ICU入室患者)、摂食嚥下障害、排泄障害、サルコペニア、フレイル、障害予防などがあります。つまり、リハ科はすべての障害および障害予防を対象として、生活機能やQOLをできるだけ高めることを目指す科です。この点で整形外科、脳神経内科、総合診療科など、他科とは明らかに異なります。実際、リハ科は日本専門医機構の基本領域の1つであり、リハ科専門医は他の基本領域のサブスペシャルティではありません。

しかし、リハ科専門医は、現時点で2499名しかいません。2008年時点でのリハ科専門医の推計必要数である3078~4095人の下限にさえ、2020年でも到達していません(「リハ科専門医需給」に関する報告)。このようにリハ科専門医は明らかに不足しており、超高齢社会で高まるニーズに十分応えているとはいえない状況にあります。人は長生きすれば、誰でもフレイル高齢者や障害者になります。フレイルや障害の予防は大切ですが、フレイル高齢者や障害者になってもできる限り自分らしく生きていける社会を作るには、より多くのリハ科専門医が必要です。ぜひ多くの医師に東京女子医科大学病院でリハ科専門医を目指していただきたいです(詳細は医局員募集のページをご参照ください )。

私は、病気より病人をみる全人的医療をできる医師になりたいと考えてリハ科医師になりました。臓器別診療医は、うっかりすると臓器だけをみる医師になることがあります。一方、リハ科は国際生活機能分類(ICF)で全人的に障害や生活機能を評価するというステップが診療の最初にあるため、臓器だけをみる医師になることはありません。

現在では、リハ科専門医であると同時に、リハ栄養の専門家であることが私のアイデンティティとなっています。リハ栄養とは、リハと栄養の両面から栄養状態、サルコペニア、生活機能を評価し介入することで、フレイル高齢者や障害者の生活機能とQOLを最大限高める取り組みで、私が作った造語です。日本リハ栄養学会を設立して、学会理事長として活動しています。リハ医療だけでなくリハ栄養の臨床、研究、教育、普及について、東京女子医科大学病院リハ科で全力で努めていきますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

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