一般検査室で行っている業務は尿定性検査、尿沈渣検査、便検査が主ですが、他にも髄液検査、穿刺液・体腔液検査、関節液検査、CAPD排液検査、精液検査、寄生虫検査など多岐にわたって行っています。
腎・泌尿器疾患や肝・胆疾患などの有無、病態変化、治療効果や薬剤の副作用を推測するスクリーニング検査です。腎障害・肝障害・横紋筋融解症や糖尿病などがわかります。
検査項目名 | 基準値 | 意義(何がわかるか) |
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尿潜血反応 | (-) | 腎臓・尿管・膀胱・尿道の障害により、尿に血液が混入する疾患(腎炎、尿路結石症、尿路感染症、尿路の悪性腫瘍など)が疑われる場合に検査します。 |
尿蛋白 | (-) | 尿を作る腎臓の糸球体という器官の障害により、血液中の蛋白質が尿に漏れ出てしまう疾患(糸球体腎炎、ネフローゼ症候群など)が疑われる場合に検査します。 |
尿糖 | (-) | 血液中に糖が過剰に存在すると漏れ出てしまう疾患(糖尿病など)や腎臓の尿細管機能が低下し、再吸収能が低下する疾患(腎性糖尿)が疑われる場合に検査します。 |
尿ビリルビン | (-) | 主に肝胆道系の障害により、血液中のビリルビンが尿に排出されてしまう疾患(アルコール性肝障害、肝硬変、肝癌など)が疑われる場合に検査します。黄疸の鑑別に重要です。 |
尿ウロビリノーゲン | (±) | 胆管閉塞、高度の腎機能障害、肝機能障害、便秘など、血液中のウロビリノーゲンが尿に排出されてしまう疾患が疑われる場合に検査します。黄疸の鑑別に重要です。 |
尿ケトン体 | (-) | 糖の利用障害、インスリンの働きが減弱してケトン体の生成が増加する疾患が疑われる場合に検査します。 |
尿白血球 | (-) | 腎・尿路に炎症や細菌などの微生物が侵入して感染を起こして尿中に白血球が増加する疾患が疑われる場合に検査します。 |
尿pH | 5.0~8.0 | 健常人の尿はpH6.0前後で弱酸性です。動物性食品を多量に摂取すると酸性に傾き、野菜や果物類を多量にするとアルカリ性に傾きます。嘔吐や腎・尿路に細菌などの微生物が侵入して感染を起こすとアルカリ性に傾きます。 |
尿比重 | 1.005~1.030 | 尿中に溶けた成分の濃度を示し、腎臓の働きである尿の希釈と濃縮機能を反映しています。腎臓に障害がある場合には、尿量と比重の関係が保たれなくなります。 |
検査項目名 | 基準値 | 意義(何がわかるか) |
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赤血球 | 4個/HPF 以下 | 腎臓・尿管・膀胱・尿道の障害により、尿に血液が混入する疾患(腎炎、尿路結石症、尿路感染症、尿路の悪性腫瘍など)が疑われる場合に検査します。 |
白血球 | 4個/HPF 以下 | 腎・尿路に炎症や細菌などの微生物が侵入して感染を起こして尿中に白血球が増加する疾患が疑われる場合に検査します。 |
その他の成分 | 腎・泌尿器疾患や肝・胆疾患などの有無、病態変化、治療効果や薬剤の副作用を推測するスクリーニング検査です。腎炎や腎・泌尿器腫瘍、ファブリー病など様々な疾患がわかる場合があります。 |
検査項目名 | 基準値 | 意義(何がわかるか) |
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便検査 (便中トランスフェリン定量) |
50 ng/mL 未満 | 消化管疾患における出血や吸収障害を把握するためのスクリーニング検査で、上部・下部の消化管出血疾患が疑われる場合に検査します。 |
便検査 (便中ヘモグロビン) |
110 ng/mL 以下 | |
髄液検査 | 細胞数: 5/μL 以下(成人) 10/μL 以下(乳児) 20/μL 以下(新生児) |
中枢神経系疾患を把握する検査で、髄膜炎、特に細菌性髄膜炎が疑われる場合に検査します。 |
穿刺液、体腔液検査 (胸水、腹水、心嚢液) |
体腔に貯留した液が循環障害・低蛋白血症・門脈圧亢進症などで漏れ出た漏出液と細菌感染や悪性腫瘍で生じた滲出液を区別するために検査します。炎症性疾患や腫瘍性疾患などが疑われる場合に検査します。 | |
関節液検査 | 細胞数:60/μL〜200/μL 結晶類:(-) |
関節に貯留した液の性状や細胞数によって、炎症性か非炎症性かを判別し、結晶の有無を評価します。関節炎や痛風、偽痛風が疑われる場合に検査します。 |
CAPD排液検査 | 細胞数:5/μL 未満 | 腹膜透析中に起こる、腹腔に細菌などの微生物が侵入して感染を起こした腹膜炎や中皮細胞の劣化による被嚢性腹膜硬化症が疑われる場合に検査します。 |
精液検査 | 精子量:1.4 mL 精子濃度:16 ×106 /mL 総運動率:42 % 精子形態(正常形態):4 % |
精液を採取し不妊症の原因を検索する検査です。その他に無精子症や逆流性射精が疑われる場合に検査します。 |
寄生虫検査 | (-) | 糞便を採取し検体に存在する虫卵、幼虫、原虫類を検出する検査です。寄生虫感染症が疑われる場合に検査します。 |
尿はいつ採れば良いですか?
早朝尿:朝起きて一番の尿を採って下さい。
随時尿:当院では採血室で受付をすると、採尿のある患者さんは自動で尿カップが作られます。採血待ち時間か採血後に採尿して下さい。
尿が採れない時は、何を飲めば良いですか?
水を飲んで下さい。お茶などの飲料にはビタミンCが入っており、尿検査に影響を及ぼすことがあります。
提出された尿カップはどのように管理していますか?
当院ではバーコードにRFID(Radio Frequency Identification)を使用しています。 これにより、検体の回収窓口への提出状況、検査室内への搬入状況を把握出来るので、 測定漏れや検体紛失を防ぎます。
薬や食事の影響はありますか?
便潜血は免疫反応を用いていますので、影響はありません。
生理中でも可能ですか?
便に血液が混じってしまうことがありますが、申告していただければ大丈夫です。
尿定性検査