血液検査室では主に、血液検査(血球分析)と凝固線容検査を行っています。
血液検査は血液疾患、感染症、悪性腫瘍、肝疾患、腎疾患、代謝異常症、膠原病など様々な疾患の診断、治療効果判定、治療経過に重要な検査です。
固線容検査は、止血機能(血液の固まりやすさ)を調べる検査です。経口抗凝固薬のモニタリングにも利用されます。
血球算定
検査項目名 | 基準値 | 主な役割や意味 |
---|---|---|
RBC (赤血球数) |
男性 4.10~5.30 ×106/μL | 赤血球数、ヘモグロビン(血色素量:酸素の運搬を担う蛋白)、ヘマトクリット(血液中に占める赤血球の割合)から貧血や多血症の検査をします。また、MCV、MCH、MCHCは貧血の指標となる数値です。 |
女性 3.80~4.80 ×106/μL | ||
HGB (血色素量) |
男性 14.0~18.0 g/dL | |
女性 12.0~16.0 g/dL | ||
HCT (ヘマトクリット) |
男性 39.0~47.0 % | |
女性 35.0~43.0 % | ||
MCV (平均赤血球容積) |
82.0~102.0 fL | |
MCH (平均赤血球ヘモグロビン量) |
28.0~35.0 pg | |
MCHC (平均赤血球ヘモグロビン濃度) |
31.0~36.0 g/dL | |
PLT (血小板数) |
15.0~35.0 ×104/μL | 止血のために働く血球で、止血機能や肝機能の評価に用いられます。 |
WBC (白血球数) |
4.00~8.60 ×103/μL | 病原微生物などから体を防御するための免疫機構の主役となる血球です。炎症や感染症で増加します。 |
WBC 分画 |
白血球の中に占める細胞の種類を割合で示した項目です。 |
|
好中球 | 38.0~71.0 % | 病原体を貪食し、殺菌能があります。 |
リンパ球 | 27.0~47.0 % | 免疫反応を担っています。 |
単球 | 2.0~8.0 % | 殺菌、異物処理能があります。 |
好酸球 | 0.0~7.0 % | 寄生虫やアレルギー疾患で上昇します。 |
好塩基 | 0.0~2.0 % | 即時型アレルギー疾患で上昇します。 |
RET (網状赤血球数) | 造血能を反映します。 | |
網状赤血球数 | 2.3~10.0 ×104/μL | |
網状赤血球比率 | 0.5~2.2 % |
1. 凝固検査
検査項目名 | 基準値 | 意義(何がわかるか) | |
---|---|---|---|
PT プロトロンビン時間 |
10.0~13.0 秒 |
PT活性が低下したときは出血傾向が予想されます。抗凝固薬(ワーファリン)の調整で用います。 | |
APTT 活性化部分トロンボプラスチン時間 |
25.5~37.5 秒 | APTTが延長したときは出血傾向が予想されます。抗凝固薬(ヘパリン)の調整で用います。 | |
Fib フィブリノーゲン |
150~350 ㎎/dL | 止血や血栓形成に必要な蛋白質です。肝障害で低下。炎症などで増加します。 | |
AT-Ⅲ アンチトロンビンⅢ |
80~130 % | 凝固を制御する(血栓の形成を抑える)因子の一つです。 | |
TAT トロンビン・アンチトロンビンⅢ複合体 |
4.0 ng/ mL 未満 | 上昇することで凝固の亢進状態を推測できます。 |
2. 線溶検査
検査項目名 | 基準値 | 意義(何がわかるか) | |
---|---|---|---|
FDP フィブリノゲン/フィブリン分解産物 |
5.0 μg/ mL 以下 |
線溶(血栓の溶解)亢進の指標となります。 | |
Dダイマー | 1.0 μg/ mL 以下 | 血栓の有無を判断する指標となります。 |
血球分析