橋本病

治療

橋本病があっても甲状腺機能が正常範囲にあれば治療の必要はなく、年に1回程度の定期的な検査をするだけで十分です。
ただし、甲状腺機能が正常な場合でも橋本病がある場合には多量のヨードを摂取しない注意が必要です。
ヨードは甲状腺ホルモンの原料として大切ですが、大量になると甲状腺機能を抑制します。昆布などヨードを大量に含む食物を毎日摂取すると容易に甲状腺機能が低下してしまいます。このような場合にはヨード摂取を制限するだけで機能は回復します。

橋本病ですでに機能低下がある場合には不足している甲状腺ホルモン(サイロキシン)を服用して血中濃度を正常に保つ必要があります。最初は少量から始めて血液中の甲状腺ホルモン濃度を見ながら少しずつ増量してゆきます。心筋梗塞や狭心症をもつ高齢の患者さんでは甲状腺ホルモンの服用によって発作が誘発されることもありますのでより少量から服用を開始します。血液中の甲状腺ホルモンとTSH濃度が正常範囲にはいったら、その時の服用量を維持量とします。

特殊な例を除き甲状腺機能低下が回復することはありませんので一生にわたる服用が必要になります。服用量が過剰にならないかぎり副作用はありません。
機能が正常化したら日常生活には何の制限もありません。抜歯や手術も問題ありません。他の病気のために甲状腺ホルモンの服用ができなくても数日間の休薬であれば問題はありません。