修了式挨拶
研修医だより:初期臨床研修を終えて <修了式修了生挨拶>
平成25年4月採用
臨床研修医第11期生
佐々木理多
皆さん、研修生活はいかがでしたでしょうか?さまざまな患者さん、先生方、 メディカルスタッフの方々との出逢いがあり、また研修科によって生活もさまざまで、密な2年間であったと思います。
私にとって色濃く残るエピソードがありますので、まずそのお話からさせていただきます。
1年目の5月、循環器内科をローテ中の私は1人の患者さんと出会いました。
EF7%の拡張型心筋症をもつ外国籍の 男性で、入院時全身に著明な浮腫を認め肝腎機能も低下していました。すぐさま厳格なインアウトバランスのコントロール及び心機能の精査 が開始されました。正直大変な患者さんを持ってしまったと思いながら、バランス管理もよく理解しないまま、上級医に言われるがままに利尿剤の投与を行っていました。さらに もともとかかりつけであった海外病院への情報提供書依頼や、心移植申請、その他の担当患者さんの診療などで徐々に疲労がたまり、心カテーテル検査をしたその日に、カルテを書き忘れて帰るという失敗をしてしまいました。
翌日強い剣幕で指導医より注意を受け、頑張っていたけど知らないことも多すぎて手一杯だったんだもの、と内心言い訳をしながらも自分の情けなさに落ち込みました。病室に行き患者さんに会うと、申し訳ない気持ちで涙をこらえるのに必死でした。そんなとき、とある声をかけてくださいました。「難しい知識はなくたって構わない。難しい判断は班長に任せればよい。チーム医療だからね。君が患者さんのためにできることを精一杯やればいいんだよ」と言われ、救われた気持ちになりました。それから誰よりも患者さんに会おうと思い、部屋に張り付いてバイタルを確認し、 適宜心エコーを行うようになりました。その他病棟の先生方や看護師さん方と連携し加療を継続したところ、徐々にバランスコントロールがつき始め、状態は改善していきました。私は途中で他科ローテになり離れましたが、現在その患者さんは人工心肺を留置し、心移植を待っています。時々外来で元気な姿を見せてくださいます。
2年間の研修で、知識や技術はもちろんですが、何より医師としての心構えを学ぶことができたと思います。
患者さんを敬い接すること、そしてその人のために何ができるかをチームで考え治療をする大切さ、一言でチーム医療を実践するといっても、それが一番難しいことかもしれません。先ほど述べたエピソードで、カルテ記載をしなかったことは他のスタッフに情報を伝える意志が無かったととられても仕方のないことでした。誰が読んでも理解しやすいカルテ記載を残すこと、忙しい業務では怠りがちですが大切なことです。また、医師だけでなく メディカルスタッフの方とよい関係を築いていくことも重要であると研修を通して痛感しました。
卒後臨床研修センター長の川名先生をはじめアドバイザーの先生方、事務の方々、ご指導くださった諸先生方、 メディカルスタッフの方々、本当にありがとうございました。この2年間で学んだことをいかし、患者さんのために自分ができることを積み重ねていきたいと思います。
臨床研修医第11期生
永田亮平
2014年4月より研修がスタートし、2016年3月31日をもって東京女子医科大学病院での初期臨床研修を終えることとなりました。あと一日で初期研修最終日ということになりますが、普段と特段変わらず日常の診療に従事してこの場にいらしている方も多いと思います。私は午前中は麻酔科の仕事をしたうえでこの場にまいりましたが、普段通りの時間が流れ、日常会話の内容や素振りからは研修1年目から変わらないようにも思います。
ただ振り返って、2年前と比べると確実に何かが変わっているというのを実感します。私ごとですが、毎日がいっぱいいっぱいの日々でした。自分の力不足や無力さで苦しんだり、後悔をすることも多々ありました。一方で、メディカルスタッフの方々や同期、指導医の先生方、患者さんとのやり取りの中で喜びや、達成感を得たり、共有できた機会が多く思い出されます。今後のロールモデルにさせていただきたいと思う先生方にも出会うことができました。おそらく、ここにいる同期は多少の違いこそあれ同じような経験を経てこの場にいることと思います。2年間お疲れ様でした。
初期研修という区切りの2年間は終わりますが、それぞれ別々の道に進み医師として引き続き精進することになります。その先々で大きな影響を与えるイベントや人との出会いがあるかと思いますが、この女子医大での2年間の経験は今後の土台になると考えております。2年間に携わった指導医、メディカルスタッフの方々、私たち研修医をサポートしてくださった川名研修センター長、アドバイザーの先生方、事務の方々にこの場をお借りして、感謝申し上げます。本当にありがとうございました。