研修体験報告

修了式挨拶

研修医だより:初期臨床研修を終えて <修了式修了生挨拶>

平成21年4月採用

臨床研修医第6期生
葭矢ひとみ

うららかな気候となり、めっきり春めいてきた3月30日。長いようであっという間だった2年間の研修生活が、終わろうとしています。
 国家試験に受かった喜びもつかの間、オリエンテーションが始まり、新たな仲間や環境に緊張しながら、ようやくお互いの顔を覚えてきたころ、各科にて研修が始まりました。白衣を着て、コメディカルの方や患者さんから「先生」と呼ばれる立場に突然立たされ、臨床現場に送り出されました。看護師さんからの「どうしますか?」との相次ぐ質問に「上に確認します」の返答の繰り返し。採血も使用する道具すらわからず、先輩の先生の後をついて歩いていました。研修医同士で腕を差し出し、ライン確保の練習もしました。患者さんに「医師です」と名乗るのも気恥ずかしく、便秘ひとつにも対応できない自分に、ただ呆然とする日々が続きました。毎日の業務に追われ、ひとつひとつを深く考えられず、上級医からの叱責に悩んだ時期もありました。カンファレンスや自己学習により、「病態はどうなっているのか」「どうしてこの治療を選択したのか」など、少しずつですが考えるプロセスを習得できるようになりました。また、患者さんに「ありがとう」と言われると、くすぐったいような言い知れぬ喜びを覚えました。
 上級医の先生方のご指導あっての成長であり、何度叱られ何度救われたかわかりません。また、コメディカルの方々はチーム医療を行ううえで欠かせない存在であり、未熟な研修医に対しても根気強く対応してくださいました。そして、70人のかけがえのない同期がいたから、愚痴を言い慰め合ったり、助け合ったり、切磋琢磨しながら、みんなで成長できたのだと確信しています。それらを礎として、これから何十年と続いていくであろう医師としてのはじめの一歩、大切な2年間を無事に終えることができたことは、これからの財産になるはずです。患者さんを不安にさせない自信と、常に自らを省みる謙虚さをもって、各科に進んでも一人ひとりが最高の医師人生を送れるよう、頑張っていきたいと思います。また、大地震により甚大な被害にあわれた方々に、医師として直接できることは少ないかもしれませんが、各自が心を寄せ、仕事に専念できればと思います。
 最後になりましたが、多忙な日々のなか、研修医を一生懸命指導してくださった各科の先生方、関わってくださったコメディカルの皆さん、また、さまざまな局面でご高配くださった前センター長の髙野先生、現センター長の萩原先生、卒後臨床研修センターの皆さま、2年間お世話になりました。ありがとうございました。

臨床研修医第6期生
八木澤隆史

3月31日を以って、我々の初期研修医としての生活が終わります。この場をお借りして、2年間の研修生活を振り返らせていただきます。
 一昨年の4月、国家試験を終えたばかりの我々は、ここで多くの新しい仲間と出会いました。親睦を深め合い、今後、ともに臨床の場に立つことに大きな期待を持っていました。オリエンテーション期間が終了し病棟研修に出ると、最初は患者さんからの質問に戸惑い、電子カルテの使い方や指示出し、医療機器の場所の把握、採血など何をするにも悪戦苦闘の毎日でした。そして、病棟業務にも慣れる一方で、多くの検査、診察、治療、カンファレンス、患者さんとのコミュニケーションなどを通じ、自分の未熟さ、経験不足を痛感し、今後、医師として日々修練していかなければならないと身の引き締まる思いをいたしました。指導医の先生をはじめとする多くの先生方には熱心にご指導いただき、医学という学問はもちろん、医師としてあるべき姿についても多くを学ばせていただきました。今後の進路を決めるうえで、先生方の存在に大きな影響を受けた人も多かったかと思います。
 研修生活も終了間近の3月11日に東日本大震災が発生しました。被災地では現在も大変厳しい状態が続いています。自然災害の恐怖を感じ、ライフラインの麻痺による生活への影響、災害医療、そして何より命の尊さについて考えさせられ、一人の医師として、人間として社会にどう貢献すべきかを見つめ直す大きな出来事でした。
 業務の合間に、同期の皆と研修センターのテーブルを囲み、語り合い、笑い、仕事の後には杯を交わすこともありました。そんな日々に区切りをつけることへの寂しさもありますが、それぞれが選んだ専門領域へ進むことへの期待感も同じくらい大きいものです。この2年間、研修医第6期生で築き上げてきた結束は、今後の医師生活における財産です。困難に向き合ったとき、悩んだとき、いつでも支え合い、お互いを高め合う素敵な仲間たちと、医師として最初の2年間を共有できたことに感謝します。
 最後になりますが、研修生活において懇切なるご指導、ご支援をいただきました卒後臨床研修センター長 萩原誠久教授、各科の先生方、コメディカルの皆様、そして早川真由美係長を始めとする卒後臨床研修センターのスタッフの皆様に心から感謝申し上げます。2年間どうもありがとうございました。

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