気胸とは肺から空気が漏れて胸腔内に貯留し、肺を圧排する疾患です。特発性(明らかな原因がないもの)、続発性(他疾患に伴うもの)、外傷性などに分類されます。程度にもよりますが、治療の基本はドレナージです。
気胸の程度がごく軽度の場合などは、外来で経過観察することも可能ですが、ドレナージが必要かどうかなど、判断に迷われるケースもあるかと思います。また、緊張性気胸や血気胸は早急なドレナージが必要です。
手術適応となるのは、再発例、気漏の持続、両側性気胸などです。気胸に対し、当科ではほぼ全症例で胸腔鏡下に手術を行っています。手術の方法としては、ブラ(写真1)を自動縫合機で部分切除し、酸化セルロースシートでの胸膜被覆・補強を行います(写真2)。
高齢者や気腫性変化が強い症例を除き、原則としてポリグリコール酸シート(術後に強固な癒着を惹起する)やフィブリン糊(血液製剤であり、感染症のリスクがある)は用いておりません。また、低肺機能や全身状態不良など、手術適応とならない患者さんについては、胸膜癒着療法を行うことがあります。気胸は良性疾患ではありますが、ブラが新たに発生することもあるため、CTで定期的なフォローを行います。
気胸の場合、緊急入院という形を取られる方が多く、疾患の特性上、若年の患者さんが多いため、学校や仕事への影響が懸念されます。当科では、手術までの待機時間を可能な限り短縮し、早期退院できるよう努力しております。