東京女子医科大学医学部 |
外科学(第一)講座 |
教授・講座主任 神崎正人 |
東京女子医科大学外科学(第一)講座のホームページをご覧いただきまして、誠にありがとうございます。
平成29年1月30日より、外科学(第一)講座の教授・講座主任を拝命しました神崎正人でございます。伝統ある外科学(第一)講座の教授・講座主任となり、身に余る光栄とともに重責を感じております。大学病院では、診療、教育、研究という3つの大きな役割があります。診療、教育、研究のバランスを保ちながら、侵襲が少なく、繊細な手術操作が要求される胸腔鏡手術を中心とした外科治療、教育では、知識、技能、コミュニケーション能力を3本の柱として、医学知識の習得に加え、倫理観を育て、安全な医療を提供する医師の育成、特に、女性呼吸器外科専門医、指導者の育成を考えております。また、臨床応用を念頭に置いた研究、先進的な医療に結びつく研究を推進してまいります。
具体的には、当科では呼吸器外科専門医7名( 平成29年2月現在)を擁し、肺がん、転移性肺腫瘍、縦隔疾患、気胸肺嚢胞性疾患、膿胸を中心とした胸部の外科診療を行っています。手術の約9割は胸腔鏡手術で行っております。胸腔鏡手術では、当科で開発、運用しているソフト(CTTRY)により、胸部CT画像から個々の症例で3次元肺構築モデルを作製し、術前カンファレンスでオーダーメイドシミュレーションを行い、手術に臨んでいます。また、間質性肺炎など呼吸器疾患合併の手術症例では、玉置 淳センター長を中心に呼吸器センターとして、呼吸器内科と連携し治療にあたっています。さらに、循環器疾患、腎・泌尿器疾患、糖尿病、神経疾患等合併症を有する症例に対し、関連の内科・外科と連携し治療を行っています。さらに、呼吸器内科、病理診断科、画像診断・核医学科との呼吸器カンファレンスや、肺がんを中心とした胸部悪性腫瘍の治療では、東京女子医科大学がんセンターでの症例検討会を通し、診療科を超えた横断的がん医療により最善の医療を目指し、日夜診療を行なっております。今後は、特に罹患率の高い肺がんの診療にあたり、ロボット手術支援装置も利用し、胸腔鏡手術における手技の精度を高めて参ります。そして、患者さんに寄り添い、大学病院として横断的がん医療、トータルケア、集学的治療を行なって参ります。
教育においては、卒前教育からシームレスに卒後教育に移行するために、テュートリアルと連動した診療参加型臨床実習に力を入れたいと考えています。卒後教育では、手術における安全なスキルの習得、専門医取得など、キャリアアップ出来る環境を作ってまいります。また、当科において、女性外科医が増加しており、研修中に結婚、妊娠・出産、育児を行う女性医師に対して、関連病院と連携し、研修期間内に研修目標に到達できる体制を整えてまいりました。社会的ニーズの高い呼吸器外科専門医の人材育成、次世代の呼吸器外科リーダーを輩出するために、今後さらに充実した研修プログラムを確立して参ります。
研究では、臨床に直結した研究を推進し、研究者の育成に努めて参ります。現在進行している臨床研究である「自己皮膚由来培養線維芽細胞シートを用いた肺気漏閉鎖」を中心に、今後も呼吸器領域の組織工学、再生医療を、東京女子医科大学 先端生命医科学研究所との連携のもと継続します。また、肺がんを中心とした外科治療において、より安全な胸腔鏡手術のため、技術面の向上につながる機器の開発を進めて参ります。
最後に、臨床、教育、研究を通じ、安全な医療を提供する専門医の育成、臨床実績の向上をはかり、医局員一丸となり社会に貢献して参ります。
平成29年2月