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東京女子医科大学 総合診療・総合内科学分野、東京女子医科大学病院 総合診療科についてのご紹介です

教授からのご挨拶greeting

「夢」と「情熱」。
これが総合診療のキーワード。
不可能に思える君の大きな「夢」を私たちと共有しよう。私たちはそれを真面目に受け止められる。
君の抑えられない「情熱」をここで発揮しよう。私たちはそれを許容する準備がある。

WONCAは、全世界の総合診療を束ねる学術団体である。現在、130を超える国々の総合診療関連の団体が加盟し、会員数は約50万人である。2005年、このWONCAのアジア大洋州学会が京都において開催された。竹村はその学術大会の事務局長であったが、会期も終盤となったある日、やや色黒の老紳士が日本の若い総合診療医と話したいと事務局を訪れた。彼は、「この学会では、米国、英国、オランダや自分のようなマレーシアなどの海外の演者を大勢呼ぶのだ。日本はいい車、いい電化製品を自らの力で作り、そして世界で最も長生きできる国ではないか。僕は日本を誇りに思うアジアの総合診療医で、君たち日本の総合診療の話が聞きたくてこの学会に参加したのにその話がほとんどない。君たちは米国や英国に既に占領されている。」との内容の話を静かに、しかし熱意を込めて語っていた。その彼こそが、元WONCA学会長であり、アジア大洋州の若い総合診療医にアジアから総合診療を発信するよう呼びかけた活動:ラジャクマール運動を引き起こした総合診療医、MKラジャクマールである。その3年後、彼は死去し、マレーシアで国葬が営まれた。

海外の総合診療については、情報が欧米に限られている感がある。しかし、アジアを含め、世界の多くの国に総合診療があり、各々の国がその国のニーズに合致したより良い総合診療を希求し、その育成に努力している。たとえそれが発展途上国の総合診療であっても、その国の国情を理解すると、地域に寄り添った機能的な総合診療であることが認識されることも多い。そしてその各々の総合診療を知れば知るほど、日本の総合診療の在り方の参考になると思える。逆に、日本の総合診療においても、近年では諸外国の参考になっている場合も散見されている。WONCAなどで日本の総合診療からの発表も多くなり、竹村が編集長であるアジア大洋州WONCAの公式学術誌、Asia Pacific Family Medicine誌においても日本の総合診療医からの発信が非常に多くなってきた。単にある市町にいるのではなく、日本という国にいる、そして世界にいる「日本の総合診療医」が、独自の教育や研究を発信し始めている。

竹村は2018年まで三重大学の教授として総合診療の教育、研究、診療にかかわってきた。三重県の人口当たりの医師数は少なかったが、人口当たりの総合診療医数は全国3位まで増加した。夢と情熱があればできないことはない。

現在、東京都民は全国1位の速度で高齢化が進んでいる。経済格差も激しい。竹村は東京に移動し、東京がこれから迎える医療問題を総合診療によって解決したいという夢がある。東京女子医科大学は自由で開かれた環境がある。ここに集う熱い総合診療医とともに全力で総合診療の教育や研究を行っている。

東京女子医科大学総合診療・総合内科学は、学内外の皆で力を合わせて、日本のいかなる地域住民のニーズにも応える総合診療医を育成したい。そして日本の総合診療に係る研究や教育を自信を持って発信できる人々をたくさん育成したい。一緒に夢を熱い情熱で追い求めたい君たちと。

東京女子医科大学大学院医学研究科総合診療・総合内科学分野
東京女子医科大学病院総合診療科
教授 竹村 洋典