緩和ケアについて
「緩和ケア」は大事ながん治療の一つです。
がんの治療は手術や抗がん剤、放射線だけではありません。
がんによる様々な症状をうまくコントロールしていくことや、がんになったことで生じる悩みや困りごとへ早々に対応し解決することで、より病気や治療に向き合うことができますし、より日常生活の質を高めていくことができます。同じがんで同じ治療を受けた場合でも、しっかりと緩和ケアを受けた患者さんはより長生きできた、というデータもあります。
緩和ケアはがん末期の人、痛みで苦しんでいる人が受けるもの、というようなイメージのある方も多いかと思います。もちろんそのような方にも緩和ケアは必要ですが、もっと軽い症状の方、症状は無くともがんになったことで生じた日常の中の悩み、困りごとのある方にもぜひ気軽に受けて頂きたいです。
がんと診断されたときから患者さんは様々な苦悩が始まります。家族のこと、子供のこと、仕事のこと、お金のこと、趣味のこと、友人との関係など、がんになったことで社会との関係性が変わってくることがあります。緩和ケアは「がんと診断されたその日から」受けて欲しいと思っています。
緩和ケアでは様々な症状や苦痛、苦悩について対応します。
患者さんは、がんになってしまったことによって、病気による症状だけでなく、日常生活そのものが変化していきます。病気になったことによって生じる様々な苦痛、苦悩についてご相談ください。患者さん本人からだけではなく、患者さんのご家族、大切な方を亡くされたご遺族からの相談も受けています。
以下に緩和ケア科で対応する例を挙げてみます。
- がんによる痛みを何とかして欲しい
- 抗がん剤の副作用による吐き気やしびれなど、痛み以外の症状の治療
- がんになって生じたこころのつらさ
- 家族、友人、職場の人などの人間関係の変化についての悩み
- 家族への負担の悩み
- 仕事が続けられるか心配
- 医療費への心配、経済的な悩み
- 療養先の悩み
- 子供や親への病気のことが言えない
- 終活の相談をしたい
- 残された家族が困らないか心配
- 患者家族の不安や心配事の相談、介護相談
- 大切な人が亡くなった後の家族の悲しみ、こころのつらさ
もちろんこれらのすべてが簡単に解決できるものばかりではないと思いますが、何が問題でどのように対応すればよいのか、一人で抱え込むのではなく一緒に考えていくことができる味方を作ることが大事です。まずはお気軽に当科医師や看護師へご相談ください。医師や看護師だけでなく、薬剤師、ソーシャルワーカー、栄養士、そして当院とつながりのある医療機関や各地域のクリニック、訪問看護師さんなどとの連携を積極的にとっています。
化学療法・緩和ケア科にかかりつけの患者さんだけでなく、どの診療科にかかりつけの患者さんでも、主治医の先生とともに並行して診察いたします。主治医の先生に「緩和ケア科を受診したい」とお伝えください。当院の外来で抗がん剤治療を受けておられる患者さんは、外来化学療法室に緩和ケア科の診察室がありますので、待ち時間に「ついで受診」してみませんか?担当看護師さんに相談してみてください。