口腔乾燥・味覚外来
口腔乾燥・味覚外来のご紹介
当科では2001年より専門外来「口腔乾燥・味覚外来」を開設し、口の乾きや味覚障害に加えて唾液過多、舌痛、嗅覚・風味障害などの口腔愁訴全般に対して診断と治療を行っています。
この頁では、口腔乾燥・味覚外来の、味覚障害と口腔乾燥症(ドライマウス)、唾液過多に対する診療内容についてご紹介します。
外来受診者の主訴の内訳(数字は実人数)
味覚障害とは
味覚障害の診療の流れ
味覚障害の種類には、味が薄い、わかりにくい(味覚減退・脱失)、塩味など特定の味だけわかりにくい(解離性味覚障害)、何を食べてもまずく感じる(悪味症)、何も食べていないのに口の中に味がする(自発性異常味覚)、においがわからないので味がわからない(風味障害) があります。味覚障害には口腔乾燥症(ドライマウス)や舌痛などの他の口内症状も同時に見られることもあります。
血液検査では、血清亜鉛、鉄、銅、ビタミンB12、葉酸値および、必要に応じて他の項目も調べます。
このため、味覚外来では、味覚の検査として電気味覚検査、ろ紙ディスク法味覚検査に加えて、唾液分泌機能検査の安静時・刺激時唾液検査も行い、必要に応じて嗅覚検査(オープンエッセンス法嗅覚検査、静脈性嗅覚検査)、TcO4唾液腺シンチグラフィや心理検査なども追加します。
味覚障害の診療の流れ
味覚障害の原因
味覚障害の多くには亜鉛欠乏が関わっています。亜鉛欠乏の原因には、亜鉛を含む食品の摂取不足、薬の副作用、糖尿病や肝臓、腸の疾患による亜鉛吸収障害や尿への排出増加があります。理由がはっきりしない亜鉛欠乏症の方も多くみられます。
味覚障害は、鉄欠乏性貧血やビタミンB群欠乏症、嗅覚が低下する風味障害、全身疾患、口内炎などや、味覚を伝える末梢・中枢神経の障害、精神的要因によっても起こります。
味覚障害の原因別頻度と治療法(当科症例)
味覚障害の治療
味覚障害の治療では、まず、抗潰瘍薬で亜鉛を含むポラプレジンクや酢酸亜鉛による亜鉛補充療法を行います。補充療法中には月1回程度血清亜鉛値測定を行い、服薬量を調整します。味覚の改善にかかる期間は、当科の経験では、半数の方は1~2か月ですが、中央値は3ヵ月でした。味覚障害に舌痛を伴う場合は、半年~1年以上かかかることが多いです。
口腔乾燥や鉄欠乏、ビタミンB群の欠乏が想定される場合はこれらの治療も併せて行い、漢方を用いることあります。
味覚障害の予後については、これらの治療でおおよそ7割は改善しますが、発症から時間が経っている場合や心因性の味覚障害は治りにくいことが多いです。味覚障害の治療は早めにはじめることをお勧めします。