(6) コンディショナルノックインマウスを用いた白血病で見出された変異型c-Cbl ( Cbl Q367P ) の造血器小発症機構の解析

 

 

Cblはサイトカインシグナルのを負に制御する。慢性骨髄球性白血病(CMML)の患者において、Cblに見出された変異(Q367P)を有する遺伝子を後天的誘導可能に発現するコンディショナルノックインマウス Cbl_Q367P cKIマウスを作製し、造血器発症への寄与とその分子機構を検証した。
Cbl_Q367P cKIマウスはコントロール(Ctrl)マウスに比べ、白血球数の著増と細胞異型性がなどのCMML様の所見が認められた(上図左)。また、Cbl_Q367P cKIマウスの造血幹細胞分画ではPI3K-AKT パスウェイとJAK-STAT パスウェイの恒常的な活性化が認められ、これらのパスウェイを阻害することで骨髄球の増多が抑制されることを示した(上図右)。これらの知見はCbl変異を有するCMML患者に対する分子標的治療法開発に繋がる可能性がある。

Publication
Acquired expression of CblQ367P in mice induces dysplastic myelopoiesis mimicking chronic myelomonocytic leukemia.
Blood. 2017 Apr 13;129(15):2148-2160. doi: 10.1182/blood-2016-06-724658. Epub 2017 Feb 16
Nakata Y, Ueda T, Nagamachi A, Yamasaki N, Ikeda KI, Sera Y, Takubo K, Kanai A, Oda H, Sanada M, Ogawa S, Tsuji K, Ebihara Y, Wolff L, Honda ZI, Suda T, Inaba T, *Honda H

2020年09月30日