(7) 7q-症候群責任候補遺伝子Samd9Lノックアウトマウスを用いた造血器腫瘍発症に関する解析
骨髄異形成症候群や骨髄球性白血病の患者には、7番染色体のモノソミーや長腕の部分欠失(-7/7q-)などの染色大異常が高頻度に認められ、病態に関与すると考えられているがその詳細は明らかではない。我々のこれまでの研究から、7q21.3領域の責任遺伝子候補としてSAMD9とSAMD9Lを単離した。そこで我々はこれらの遺伝子欠失の造血器腫瘍発症への寄与を検討するため、Samd9L
ノックアウト(KO)マウスを樹立し、解析を行った。興味深いことにSamd9L KOマウスは、ホモ欠失とヘテロ欠失同様ともに60%が老齢でヒトの-7/7q-陽性造血器腫瘍と類似した骨髄球性の疾患を発症し(上図:Smad9L欠失マウスの生存曲線と血球の異型性)、その造血幹細胞はコロニー形成能と骨髄再構築能が亢進していた。Samd9Lは初期エンドソームに局在しており、Samd9Lの欠失によって活性化したレセプターが細胞膜上に留まることが、これら表現形の分子基盤であることが示唆された。以上の結果から、Samd9Lのハプロ不全が-7/7q-陽性造血器腫瘍と類似した骨髄球性の造血器腫瘍発症に寄与し、SAMD9,
SMAD9Lは-7/7q-陽性造血器腫瘍の責任遺伝子の1つである事が強く示唆される。
Publication
Haploinsufficiency of SAMD9L, an endosome fusion facilitator, causes myeloid
malignancies in mice mimicking human diseases with monosomy 7.
Cancer Cell. 2013 Sep 9;24(3):305-17. doi: 10.1016/j.ccr.2013.08.011.
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