(5) 神経芽細胞種で見出された変異型ALK ( R1275Q ) の腫瘍発症機構の解析
神経芽細胞種の特徴としてMYCNの過剰発現が知られている。神経芽細胞の患者から見出されたALK(anaplastic lymphoma kinase)の活性型変異(R1275Q)の病態への寄与を検証するため、ALK_R1275Q KI マウスを作製し、MYCN トランスジェニックマウスと掛け合わせ解析を行った。ALKR1275Q KIマウスは、MYCN Tgマウスとの掛け合わせで全例が早期に死亡し(上図左)、腹腔にアポトーシス像を伴った神経芽細胞腫を発症した(上図右)。さらにこれらの腫瘍は、MYCNトランスジェニックマウスの腫瘍と比較して、ECM(extracellular matrix)-BM(basement membrane) 関連遺伝子群の発現が低下し、浸潤能などが増強していることが明らかとなった。 我々はALK活性型変異を有する神経芽細胞種の治療法開発のため、ALK_R1275Q KI, MYCN 過剰発現マウスの発症した神経芽細胞種に対するALK阻害剤のcrizotinibの腫瘍抑制効果をアログラフトモデルで検証を行った。その結果、crizotinib の投与によって腫瘍は消失することが示された。
Publication
ALK(R1275Q) perturbs extracellular matrix, enhances cell invasion and leads
to the development of neuroblastoma in cooperation with MYCN.
Oncogene. 2016 Aug 25;35(34):4447-58. doi: 10.1038/onc.2015.519. Epub 2016 Feb
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