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2015年03月11日“チーム医療”を推進する救命救急センター
救命救急センター

緊迫した現場でも、患者さんとご家族に寄り添う医療を提供

 某月某日午前7時44分、新宿区内でスクーターがトラックに接触する交通事故が
 発生。スクーターは大破し、乗っていた18歳の男性が負傷。7時51分、東京消防庁
 の救急車が出動し、8時5分に事故現場に到着した。
  ちょうどその頃、東京女子医科大学病院東病棟地下1階にある救命救急センターの
 医局では、朝のカンファレンスが始まっていた。そこに上記負傷者の救急搬送連絡
 が入り、数名の医師があわただしく1階の救急入口へ向かった。その中の一人、
 齋藤倫子医師の動きを中心に、救命救急センターの1日を追った。


 

【救命救急センターとは】
 我が国の救急医療は傷病の重症度により、一次(初期)、二次、三次の三段階体制となっている。一次救急は外来で対処しうる軽症患者さん、二次救急は入院や手術を必要とする患者さん、三次救急は一次・二次救急では対応できない生命の危機を伴う救急患者さんを対象としている。この三次救急を担うのが救命救急センターである。重症・重篤な患者さんを原則として24時間365日体制で受け入れ診療する専門施設として、全国に265施設(2013年9月1日現在)が設置されている。
 東京女子医科大学の救命救急センターが開設されたのは1989(平成元)年。都内のみならず、全国的にも伝統のある救命救急センターとして知られる。心肺停止、多発外傷、多臓器不全、ショック、心筋梗塞、脳血管障害、重症中毒などの救急患者さんを受け入れ、高度医療機器や専門性の高い院内各科との連携により救命救急医療を行っている。






 







<人が好きな集団での“チーム救急医療”を推進しています>
 東京女子医大の救命救急センターは大学病院の施設であり、院内にすべての科の専門医を擁しているのが特徴の一つです。このため、複数の診療科で対応しなければならない重篤な患者さんや、より高度で専門的な治療を求められる重症患者さんにも対応することができ、他の救命救急センターからそうした患者さんを受け入れるケースも少なくありません。
 救命救急医は常に初対面の患者さんと接することになり、最初の対応一つで患者さんやご家族との関係が決まってしまいます。ですから、患者さんに対応していく中でご家族のご理解やご協力も得ながら、いかにお互いに信頼関係を構築していくかが問われます。
 また、救命救急センターにはいつどんな患者さんが運ばれてくるか分かりません。しかも、重症・重篤な患者さんがほとんどです。そうした中で救命救急医に求められるのは、やはり瞬時の判断力です。救命第一ですから、情報が整わないうちに治療対応しなければならないときもあります。刻々と時間が経過していく中で、スピーディーに適切な判断を下していく能力が求められるわけです。
                                                        
救命救急医は、指揮官としての役割も発揮しなければなりません。彼らは看護師や臨床工学技士、臨床検査技師、研修医らと連携しながら医療に携わっていますが、そのためにはスタッフとのコミュニケーションを図り、個々の能力を最大限に生かせるように指揮していかなければなりません。その意味で、カンファレンスにも十分時間をかけ、スタッフ全員のコンセンサスを得るようにしています。
救急の現場は緊迫感もあり、ややもすれば殺ばつとした雰囲気になりかねません。そのような状況下で、救命救急センターのスタッフが患者さんにやさしく接しているのを見るにつけ、「人が好きなんだろうな」と思います。これからも、人が好きな集団での“チーム医療”を通じて、質の高い救急医療を提供していきたいと思います。  (救命救急センター長代行:矢口 有乃)                                                                          


<医療の原点から学ぶために救命救急センターに入局しました>
救命救急センター助教  齋藤 倫子

 私が救命救急センターに入局したのは、医療の原点から学ぼうと思ったからです。他の診療科だと科ごとに学ぶ領域が限られてきます。もちろん、それぞれの分野に精通したドクターがいて病院が成り立っているわけですが、救命救急医の場合は患者さんに対してどういう治療が必要か、優先順位をつけながら即座に判断していかなければなりません。そのためにも、診療科の枠を超えた横断的な知識が必要となってきます。それが救命救急医の特性でもあるわけです。
 研修医時代を含めて9年目になりますが、さらに知識を吸収しながらここで一人前といわれる救命救急医をめざしていこうと思っています。



「広報誌 sincere1号より」