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2015年06月30日ミャンマーの子供に笑顔を心臓病治療で国際貢献
ミャンマーの子供たちに笑顔を! 心臓病治療で国際貢献
本学は国立循環器病研究センター、NPO法人ジャパンハート、そして「明美ちゃん基金」とともに心臓病で苦しむミャンマーの子供たちを救うための医療支援プロジェクトに参加します。
(今回の事業で支援先となる国立ヤンキンこども病院)
(1)医療支援プロジェクト
ミャンマーは軍事政権から民主主義政体への転換に伴い、経済発展が注目されていますが、医療については依然発展途上にあります。特に先天性心疾患の分野については専門医がほとんどおらず、通常であれば治療が行われるような小児の患者でも、その多くが医療を受けることできない状態です。こうした現状から、「明美ちゃん基金」を活用することで、ミャンマーにおける先天性心疾患を専門とする医療スタッフの育成を行い、医療水準の向上を図るのがこのプロジェクトです。
具体的には、現地の患者への診療行為を通じてミャンマーの医療スタッフの教育を行うことと、医療スタッフを日本に招いて教育することの二本立てになっています。内科系は中西敏雄前循環器小児科教授をはじめとした本学の医師を中心に、小児心臓外科については市川肇国立循環器病研究センター小児心臓外科部長を中心に担当していくことになっています。事業期間は5年で、研修施設はミャンマーでは国立ヤンキンこども病院、日本では東京女子医科大学病院と国立循環器病研究センターとなる予定です。
(国立ヤンキンこども病院の手術室を視察する中西敏雄・前東京女子医大循環器小児科教授(中央))
国立ヤンキンこども病院はミャンマーの小児病院で唯一の心臓病手術室を備える小児循環器治療の中心的施設ですが、技術的には体重10kg以下のこどもの手術は難しく、経験にも乏しい状態です。単に医療を提供するだけでなく、ミャンマーの医師が自らこどもたちの命を救えるよう、人材育成を行う必要があると判断され、今回のプロジェクトがスタートすることになりました。
(2)「明美ちゃん基金」とは?
今回のプロジェクト推進に伴う医療費、研修費、渡航費、宿泊費等の費用は、全額が「明美ちゃん基金」から支払われます。「明美ちゃん基金」とはいったいどのようなものなのでしょうか。
明美ちゃん基金は、先天性心臓病などに苦しみながら経済的な事情で手術を受けることができない子供たちを救うため、産経新聞社が提唱して設立された基金で、活動資金はすべて読者を中心とする一般の人たちからの寄託金で賄われています。50年近くにわたり、100人を超える幼い命を救ってきました。
基金のはじまり
1966年(昭和41年)、1通の投書がきっかけになり、産経新聞に鹿児島在住の5歳の女児、明美ちゃんの記事が載りました。心室中隔欠損症があり、手術費用は50万円、現在の約 500万円相当でした。 当時は現在のようなさまざまな医療費助成がない時代で、家族にとって高額すぎる費用でした。 家族の「貧しいが故に死なねばならぬか」という訴えが記事になりました。 記事は反響を呼び、1週間後には全国からの寄付が420件、425万円余りに達したといいます。手術は1966年、当時心臓病の世界的権威といわれた本学附属心臓血圧研究所所長 榊原仟教授の執刀の下で行われ、成功しました。産経新聞社が、明美ちゃんの両親や榊原教授らと協議し、心臓病の子供を救う基金として「明美ちゃん基金」を設立しました。その後、同じような患者さんに「明美ちゃん基金」が適用され、心臓病の子供たちが手術を受けることができました。
(榊原教授と握手をしている明美ちゃん。右端は循環器小児科 高尾篤良教授(産経新聞社 提供))
基金の発展
「明美ちゃん基金」の報道がきっかけとなり、厚生省(当時)が1967年から育成医療費を増額し、心臓病を支給対象に含めるなど、心臓手術の医療費は健康 保険や公的扶助でほぼカバーされるようになりました。国内で対策が進むにつれ、基金は発展途上国の子供たちを救うために使われるようになりました。ネパール、韓国、カンボジア、マレーシア、ラオス、ペルーなど多数の国の子供に適用され、日本で手術を受ける援助をしています。手術を受けたインドネシアの子供が、成人した後アメリカで事業を興して成功し、最近基金に寄付したこともあります。ペルーの子供は、病院まで歩いて数日かかる村から来ました。フジモリ大統領時代で、退院時には東京のペルー大使館でパーティが開かれ、女子医大関係者も招待されました。
(明美ちゃん基金の適用を受けて来日したペルーの少女(産経新聞社 提供))
基金には、今なお日本全国からの寄付が続いています。中学生の小遣いからと思われる少額のものもあれば、有志の方の高額のものもあるようです。基金は、心臓手術の援助のほか、学術講演会の後援にも使われています。
今回の事業では、現地の子供たちを治療するだけではなく、医療行為を通じた現地医療関係者に対する教育を支援の柱に据え、ミャンマーにおける小児循環器の医療レベルを向上し、先天性心疾患の子供たちを治療できる専門医をはじめとした医療関係者の養成を目指します。心臓病に苦しむこどもたちの笑顔を取り戻すため、本学は新たな一歩を踏み出します。
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「明美ちゃん基金」への振り込みは、みずほ銀行東京中央支店(店番号110)普通預金口座567941「産経新聞社会部明美ちゃん基金」。郵送の場合は、現金書留で〒100―8077 産経新聞東京本社社会部「明美ちゃん基金」。
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本学は国立循環器病研究センター、NPO法人ジャパンハート、そして「明美ちゃん基金」とともに心臓病で苦しむミャンマーの子供たちを救うための医療支援プロジェクトに参加します。
(今回の事業で支援先となる国立ヤンキンこども病院)
(1)医療支援プロジェクト
ミャンマーは軍事政権から民主主義政体への転換に伴い、経済発展が注目されていますが、医療については依然発展途上にあります。特に先天性心疾患の分野については専門医がほとんどおらず、通常であれば治療が行われるような小児の患者でも、その多くが医療を受けることできない状態です。こうした現状から、「明美ちゃん基金」を活用することで、ミャンマーにおける先天性心疾患を専門とする医療スタッフの育成を行い、医療水準の向上を図るのがこのプロジェクトです。
具体的には、現地の患者への診療行為を通じてミャンマーの医療スタッフの教育を行うことと、医療スタッフを日本に招いて教育することの二本立てになっています。内科系は中西敏雄前循環器小児科教授をはじめとした本学の医師を中心に、小児心臓外科については市川肇国立循環器病研究センター小児心臓外科部長を中心に担当していくことになっています。事業期間は5年で、研修施設はミャンマーでは国立ヤンキンこども病院、日本では東京女子医科大学病院と国立循環器病研究センターとなる予定です。
(国立ヤンキンこども病院の手術室を視察する中西敏雄・前東京女子医大循環器小児科教授(中央))
国立ヤンキンこども病院はミャンマーの小児病院で唯一の心臓病手術室を備える小児循環器治療の中心的施設ですが、技術的には体重10kg以下のこどもの手術は難しく、経験にも乏しい状態です。単に医療を提供するだけでなく、ミャンマーの医師が自らこどもたちの命を救えるよう、人材育成を行う必要があると判断され、今回のプロジェクトがスタートすることになりました。
(2)「明美ちゃん基金」とは?
今回のプロジェクト推進に伴う医療費、研修費、渡航費、宿泊費等の費用は、全額が「明美ちゃん基金」から支払われます。「明美ちゃん基金」とはいったいどのようなものなのでしょうか。
明美ちゃん基金は、先天性心臓病などに苦しみながら経済的な事情で手術を受けることができない子供たちを救うため、産経新聞社が提唱して設立された基金で、活動資金はすべて読者を中心とする一般の人たちからの寄託金で賄われています。50年近くにわたり、100人を超える幼い命を救ってきました。
基金のはじまり
1966年(昭和41年)、1通の投書がきっかけになり、産経新聞に鹿児島在住の5歳の女児、明美ちゃんの記事が載りました。心室中隔欠損症があり、手術費用は50万円、現在の約 500万円相当でした。 当時は現在のようなさまざまな医療費助成がない時代で、家族にとって高額すぎる費用でした。 家族の「貧しいが故に死なねばならぬか」という訴えが記事になりました。 記事は反響を呼び、1週間後には全国からの寄付が420件、425万円余りに達したといいます。手術は1966年、当時心臓病の世界的権威といわれた本学附属心臓血圧研究所所長 榊原仟教授の執刀の下で行われ、成功しました。産経新聞社が、明美ちゃんの両親や榊原教授らと協議し、心臓病の子供を救う基金として「明美ちゃん基金」を設立しました。その後、同じような患者さんに「明美ちゃん基金」が適用され、心臓病の子供たちが手術を受けることができました。
(榊原教授と握手をしている明美ちゃん。右端は循環器小児科 高尾篤良教授(産経新聞社 提供))
基金の発展
「明美ちゃん基金」の報道がきっかけとなり、厚生省(当時)が1967年から育成医療費を増額し、心臓病を支給対象に含めるなど、心臓手術の医療費は健康 保険や公的扶助でほぼカバーされるようになりました。国内で対策が進むにつれ、基金は発展途上国の子供たちを救うために使われるようになりました。ネパール、韓国、カンボジア、マレーシア、ラオス、ペルーなど多数の国の子供に適用され、日本で手術を受ける援助をしています。手術を受けたインドネシアの子供が、成人した後アメリカで事業を興して成功し、最近基金に寄付したこともあります。ペルーの子供は、病院まで歩いて数日かかる村から来ました。フジモリ大統領時代で、退院時には東京のペルー大使館でパーティが開かれ、女子医大関係者も招待されました。
(明美ちゃん基金の適用を受けて来日したペルーの少女(産経新聞社 提供))
基金には、今なお日本全国からの寄付が続いています。中学生の小遣いからと思われる少額のものもあれば、有志の方の高額のものもあるようです。基金は、心臓手術の援助のほか、学術講演会の後援にも使われています。
今回の事業では、現地の子供たちを治療するだけではなく、医療行為を通じた現地医療関係者に対する教育を支援の柱に据え、ミャンマーにおける小児循環器の医療レベルを向上し、先天性心疾患の子供たちを治療できる専門医をはじめとした医療関係者の養成を目指します。心臓病に苦しむこどもたちの笑顔を取り戻すため、本学は新たな一歩を踏み出します。
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「明美ちゃん基金」への振り込みは、みずほ銀行東京中央支店(店番号110)普通預金口座567941「産経新聞社会部明美ちゃん基金」。郵送の場合は、現金書留で〒100―8077 産経新聞東京本社社会部「明美ちゃん基金」。
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