お知らせ

2019年09月05日  4p欠失症候群のゲノム情報と自然歴の調査研究成果が「Congenital Anomalies誌」に公表されました
遺伝子医療センター ゲノム診療科 
山本俊至教授研究グループ
 
 4p欠失症候群は4番染色体短腕末端がうまれつき欠失していることにより、発達の遅れ、成長障害、てんかんなどを生じる疾患で、出生数万人にひとりで認められる希少疾患です。この疾患をはじめて明らかにした研究者の名前から、Wolf-Hirschhorn症候群とも呼ばれます。厚生労働省により、指定難病として認められています。

 4p欠失症候群を持つ患者さんの症状やその程度は様々ですが、4番染色体の欠失範囲もまた様々です。そこで今回、10名の患者さんにご協力いただき、染色体の欠失範囲の大きさをマイクロアレイ染色体検査で明らかにし、臨床症状との相関について調査させていただきました。その結果、最末端から2Mbの領域に位置するLETM1とWHSC1という2つの遺伝子の領域が最も重要であることがわかりましたが、4p欠失症候群を持つ患者さんに特徴的な顔貌の所見は、それより末端寄りの、FGFRL1遺伝子の領域に責任領域があることが示唆されました。

 この研究成果は日本先天異常学会の機関誌である「Congenital Anomalies誌」(令和元年9月2日発行)に掲載され、マイクロアレイ染色体検査の結果をまとめたFigureの1つが、Journalの表紙に選ばれました。
(Yamamoto-Shimojima K, Kouwaki M, Kawashima Y, Itomi K, Momosaki K, Ozasa S, Okamoto N, Yokochi K, Yamamoto T. Natural histories of patients with Wolf-Hirschhorn syndrome derived from variable chromosomal abnormalities. Congenit Anom (Kyoto). 2019; 59(5), 169-173. https://doi.org/10.1111/cga.12318 )