お知らせ
2019年07月16日 【医療支援活動報告】モザンビークにおけるサイクロン被害に対する国際緊急援助隊での診療経験
4月5日から18日までの2週間、JICAの国際緊急援助隊医療チーム(以下JDR)のメンバーとして本学耳鼻咽喉科 助教 草間 薫がアフリカのモザンビーク共和国での診療に参加してきました。
3月14日に上陸したサイクロンはモザンビークの湾岸都市であるベイラを直撃しました。今回活動したGuara-Guara村はベイラ郊外の集落ですが、洪水で道路が寸断され、医療・物資ともに支援が遅れている地域でした。私が参加したチームは2次隊だったため、道路は開通していましたが、それでも四駆の車でベイラから片道3時間かかりました。3月下旬から活動を行っていた1次隊はヘリコプターで現地入りしたそうです。避難所といっても日本のようにしっかりした建物の中ではなく、テントでのキャンプ生活が主で、活動していた診療サイトも、サイクロンで屋根が飛ばされた学校の跡地の建物に屋根の代わりにブルーシートをかけたものでした。
最高気温は40℃を超す猛暑ですが、夜は気温が下がるため外に出しておいた備品が夜露でびっしょり濡れるような過酷な環境です。診療サイトは拠点としていたベイラのホテルから遠いため、診療サイトの近くでテントを張って野営をし、一部のメンバーが交代でホテルに帰るシフトとなっておりました。普段アウトドアやサバイバルなどに全く慣れていないため心配でしたが、暗くなると仕事もないため早寝早起きの健康的な生活ができました。夜は南十字星の輝く満天の星空を見ることができますが、夜は虫達の活動性が高まり巨大なコオロギの大音量の鳴き声に苛まれるという問題もありました。
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診察風景 |
被災地までは4本の飛行機を乗り継いでの移動でしたので、実際の診療期間は4月7日から4月13日までの7日間で、医師2名から3名の外来診療で525人の患者さんを診察しました。災害発生から2週間以上が経過しているため、災害で直接的に受けた外傷などの患者さんは少なく、長期化する避難所により上気道炎をきたした患者さんや、煮沸していない井戸水を飲んでいることによる下痢の患者さんなどが主でした。また、コレラやマラリアといった日本での診療では診察する機会のない疾患も多数診察し、大変勉強になりました。専門外の診療内容も多いため、看護師、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士などの医師以外のスタッフの方々にも大変助けられ、なにも海外だから、被災地だからといって特殊なことばかりを行っているわけではなく、良好なコミュニケーションのもと、普段通りの診療を行うという医療の原点を見直す非常にいい経験になったと思います。
国際医療の現場においては宗教上の理由などからジェンダーに対する配慮が不可欠で、女性医師のニーズはとても高いです。これを読んで活動に興味を持たれた方はご連絡ください。是非一緒に活動しましょう。
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診療所 |
診療所内 |
写真提供:JICA