お知らせ
2019年05月23日 地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)の研究に参加
大阪市立大学大学院医学研究科 寄生虫学分野の金子 明(かねこ あきら)教授を代表とする研究が、地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)に条件付き※1で採択されました。ケニアの地域保健に詳しい本学国際環境・熱帯医学講座 杉下智彦教授・講座主任が、コミュニティ活動の分担研究者として研究を行います。
このプログラムは国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)がそれぞれ独立行政法人国際協力機構(JICA)と連携して実施しているもので、科学技術と外交を連携し、相互に発展させる「科学技術外交」の一環として、地球温暖化や生物資源、防災、感染症といった地球規模の課題解決を目指します。
※1 今後は、外務省による相手国政府との実施にかかわる国際約束の締結、JICAによる相手国関係機関との実施協議を経た後、共同研究を開始しますが、相手国関係機関との実務協議内容や相手国情勢などによっては、変更の可能性もあるため、現時点では条件付きでの採択となっています。
研究科題名:
熱帯アフリカのマラリア撲滅を目指したコミュニティー主導型統合的戦略のための分野融合研究
研究者名:大阪市立大学大学院医学研究科 寄生虫学 教授 金子明(代表)
小樽商科大学商学部経済学科 経済政策・開発経済学 教授 松本朋哉
東京女子医科大学医学部 国際環境・熱帯医学講座 教授/講座主任 杉下智彦
東北大学大学院薬学研究科 生活習慣病治療薬学 准教授 平塚真弘
<研究概要>
マラリアは、蚊の媒介によって感染する原虫性疾患です。発症すると高熱などの症状が現れます。早期に治療すれば治る疾患ではありますが、重症化すると死に至ることがあります。熱帯流行地において原虫に対する免疫形成が未熟な5才未満の小児死亡率は極めて高いことが報告されています。
熱帯アフリカでは、ビクトリア湖周辺地域を代表として高いマラリア伝播が続きます。日本では聞き慣れない疾患かもしれませんが、東京2020オリンピック・パラリンピックや大阪・関西万博を控え、ますますインバウンドの増加が予想される中、日本国内に持ち込まれる感染が増加する可能性も大いにあります。国連・持続可能な開発目標(SDGs)が掲げるマラリア流行の終焉に向けた地球全体での取り組みが必須となります。
金子教授らの研究グループは2012年からケニア・ビクトリア湖周辺地域にて、マラリア伝播の疫学的特性を継続的に現地調査し、マラリア・エリミネーション戦略において重要な感染源となる多くの無症候性感染者※2の存在などを見出してきました。一方で、配付された蚊帳の不適切な使用や、マラリア伝播に対する知識不足が原因で生じる感染予防意識の低さ、初期治療の遅れなど、マラリア制圧に向けた住民行動上の課題が明らかになってきました。
そこで今回の研究では、日本企業のイノベーションによる媒介蚊対策強化や診断治療最適化に加え、「行動経済学」の理論を活用し、知識レベルの引き上げや予防対策に関するインセンティブスキームの導入等、住民の行動変容を促すことによるマラリア・エリミネーションにアプローチします。また、本学医学研究科 医療統計学の新谷歩教授も参画し、REDCap※3を駆使したデータ統合を行い、多角的モニタリングを行うことで熱帯アフリカにおけるマラリアの統合的エリミネーション戦略を構築・実証していきます。
※2 ビクトリア湖周辺地域のマラリア感染者の多く特に成人は、頻回の原虫感染により獲得された免疫のため、感染していても症状が現れない無症候性感染者であることが見いだされています。無症候性感染者は無自覚のまま重要な感染源となり、免疫が未熟な子どもの重症マラリアをもたらしています。
※3 米国ヴァンダービルド大学で開発されたIT専門家でなくとも誰でも簡単にWeb上でデータベースの構築と管理ができ、多施設のデータを簡単安全に集積できる国際標準のデータ統合システム
大阪市立大学大学のプレスリリースはこちら>>
このプログラムは国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)がそれぞれ独立行政法人国際協力機構(JICA)と連携して実施しているもので、科学技術と外交を連携し、相互に発展させる「科学技術外交」の一環として、地球温暖化や生物資源、防災、感染症といった地球規模の課題解決を目指します。
※1 今後は、外務省による相手国政府との実施にかかわる国際約束の締結、JICAによる相手国関係機関との実施協議を経た後、共同研究を開始しますが、相手国関係機関との実務協議内容や相手国情勢などによっては、変更の可能性もあるため、現時点では条件付きでの採択となっています。
研究科題名:
熱帯アフリカのマラリア撲滅を目指したコミュニティー主導型統合的戦略のための分野融合研究
研究者名:大阪市立大学大学院医学研究科 寄生虫学 教授 金子明(代表)
小樽商科大学商学部経済学科 経済政策・開発経済学 教授 松本朋哉
東京女子医科大学医学部 国際環境・熱帯医学講座 教授/講座主任 杉下智彦
東北大学大学院薬学研究科 生活習慣病治療薬学 准教授 平塚真弘
Point ・マラリア撲滅に向けて、行動経済学の理論も活用して文理横断でアプローチ ・今年度SATREPS感染症分野による採択を受けたのは2大学のみ ・研究費は5年間で計4.7億円 |
<研究概要>
マラリアは、蚊の媒介によって感染する原虫性疾患です。発症すると高熱などの症状が現れます。早期に治療すれば治る疾患ではありますが、重症化すると死に至ることがあります。熱帯流行地において原虫に対する免疫形成が未熟な5才未満の小児死亡率は極めて高いことが報告されています。
熱帯アフリカでは、ビクトリア湖周辺地域を代表として高いマラリア伝播が続きます。日本では聞き慣れない疾患かもしれませんが、東京2020オリンピック・パラリンピックや大阪・関西万博を控え、ますますインバウンドの増加が予想される中、日本国内に持ち込まれる感染が増加する可能性も大いにあります。国連・持続可能な開発目標(SDGs)が掲げるマラリア流行の終焉に向けた地球全体での取り組みが必須となります。
金子教授らの研究グループは2012年からケニア・ビクトリア湖周辺地域にて、マラリア伝播の疫学的特性を継続的に現地調査し、マラリア・エリミネーション戦略において重要な感染源となる多くの無症候性感染者※2の存在などを見出してきました。一方で、配付された蚊帳の不適切な使用や、マラリア伝播に対する知識不足が原因で生じる感染予防意識の低さ、初期治療の遅れなど、マラリア制圧に向けた住民行動上の課題が明らかになってきました。
そこで今回の研究では、日本企業のイノベーションによる媒介蚊対策強化や診断治療最適化に加え、「行動経済学」の理論を活用し、知識レベルの引き上げや予防対策に関するインセンティブスキームの導入等、住民の行動変容を促すことによるマラリア・エリミネーションにアプローチします。また、本学医学研究科 医療統計学の新谷歩教授も参画し、REDCap※3を駆使したデータ統合を行い、多角的モニタリングを行うことで熱帯アフリカにおけるマラリアの統合的エリミネーション戦略を構築・実証していきます。
※2 ビクトリア湖周辺地域のマラリア感染者の多く特に成人は、頻回の原虫感染により獲得された免疫のため、感染していても症状が現れない無症候性感染者であることが見いだされています。無症候性感染者は無自覚のまま重要な感染源となり、免疫が未熟な子どもの重症マラリアをもたらしています。
※3 米国ヴァンダービルド大学で開発されたIT専門家でなくとも誰でも簡単にWeb上でデータベースの構築と管理ができ、多施設のデータを簡単安全に集積できる国際標準のデータ統合システム
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