肺癌が疑われる患者では縦隔リンパ節転移は治療と予後の重要な決定因子であり、
侵襲的な病理組織学的確認が推奨される。
病期診断には多くの方法が用いられるが、縦隔鏡が現在の診断的標準である。
侵襲性の少ない3種類の内視鏡的方法(気管支鏡針生検=TBNA, 超音波気管支鏡生検=EBUS-FNA, 食道内視鏡生検=EUS-FNA)およびその組み合わせの診断精度を比較(とくにTBNA対EBUS)することを目的に検討した。
2004.11から2006.10の期間に米国研究的施設における、肺癌を疑われた連続症例を対象とした、侵襲的縦隔病期診断。 138例で以下の内視鏡的3方法とCT, PETが行われた。
TBNA, EBUS, EUSを一連の単一検査手技として実施。
FNAで検体を採取したリンパ節は大きさによらず視認されたものとした。
同一のリンパ節領域からは最大のものから採取した。
病理組織学的確認(FNA、手術、縦隔/胸腔胸)ないし6・12ヶ月経過観察により判断した
縦隔リンパ節転移検出の感度
対象138例のうち、NSCLCは68例、うち線癌(56%)、扁平上皮癌(24%)であった。
138例中42例(30%)にリンパ節悪性腫瘍転移が認められた。
EBUSはTBNAよりも鋭敏[ 29(69%) 対 15(36%)]であった(p=0.003)。
EUSとEBUSの組み合わせはそれぞれ単独よりもより高い感度(93%)と陰性予測値(97%)を示した。この組み合わせは、さらにどのリンパ節部位に対しても、またCT上腫大のないリンパ節に対しても、同様によりより高い感度と陰性予測値を示した。
EUSは気管分岐と後方縦隔(7,5,6)、EBUSは気管分岐と前方縦隔(7,2,3,4)に適していた。
一方、PETの感度は低く(24% [10/42])、特異度は高かった (90% [86/96])。
CTの感度はPETよりも高く、(67% [28/42])、特異度は低かった(53% [51/96])。
CT, PETいずれも陰性の60例については、
感度はTBNA 17% (2/12)、EUS 67% (8/12)、EBUS 50% (6/12)、EUS+EBUS 75% (9/12)であり、
陰性予測値はTBNA 83% (48/58)、EUS 92% (48/52)、
EBUS 89% (48/54)、EUS+EBUS 94% (48/51) であった。
EBUSはTBNAは高い感度を示し、EUSとEBUSの組み合わせはほぼ完璧な低侵襲的な縦隔病期診断を可能にし、縦隔鏡に変わりうる優れた方法であることが示唆される。