Kidney cancer
抗癌剤や放射線治療は効果が少なく、手術が第一選択です。
腎がんでは外科的な治療が主体となります。術式は大きく以下の2つに分かれます。
癌の病巣と腎臓の一部を切除する方法です。
腎周囲脂肪組織も含め腎臓ごと腫瘍を取り除く方法です。副腎は最近では残すことが多いです。
また最近では、開腹手術ではなく、小さな穴から手術を行う腹腔鏡手術も行っています。またダビンチシステムというロボットを用いた手術を腎部分切除に導入しています。
術者が直接おなかに器械を入れて手術を行います。
当科における腎部分切除の標準的な術式になります。術者がロボットを操作し、手の動きと全く同じ動作が器械に伝わり、通常の腹腔鏡下手術に比べてより繊細で正確な手術が可能となります。2016年4月1日から腎部分切除術(腎臓がん)に対して「ダビンチ」手術が保険適用になりました。
術式は病気の状態によって代わります。
術式 | アプローチ | コメント | ||
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ステージ1 (7cm以下で腎の被膜を超えない) |
第1選択 | 腎部分切除 | ロボット支援手術 | 70%以上の方がこの術式です |
開腹手術 | 腫瘍が大きい場合 | |||
腹腔鏡下手術 | 何らかの理由でロボット手術ができない場合 | |||
第2選択 | 根治的腎摘除 | 腹腔鏡下手術 | 術前の合併症が多い方 | |
ステージ2 (7cm以上で腎の被膜を超えない) |
第1選択 | 腎部分切除 | 開腹手術あるいはロボット手術 | 腎の上か下によっていれば施行可能 |
第2選択 | 根治的腎摘除 | 腹腔鏡下手術 | 腫瘍位置が腎部分切除が難しい場合 | |
ステージ3,4 | 第1選択 | 根治的腎摘除 | 腹腔鏡下手術 | 多くの患者さんでこちらを選択 |
開腹手術 | 周囲への広がりが強い場合 | |||
第2選択 | 腎部分切除 | 開腹手術 | 腎臓が1つの方など |
液体窒素で腫瘍を凍結し除去する治療です(当科では行っておりません)。
ラジオ波を用いて癌を焼灼する(凝固させる)方法です(当科では行っておりません)。現在、保険収載はされておりません。
血尿などの症状が強い場合におこないます。金属コイルやゼリー状の物質を腫瘍血管につめて腫瘍を阻血、壊死させる方法ですが、現在ほとんど行われなくなりました。
体の免疫力を増強させる治療が中心です。
在宅で自己注射します。
1日1回300~600万IUを筋肉注射します。体の免疫力を高め癌細胞の増殖を抑えます。化学療法と併用することもあります。
発熱・感冒様症状・倦怠感・抑うつ・汎血球減少
少柴胡湯と併用しない(間質性肺炎が起こることがあります)。
1日1~2回70万~210万JRUを点滴投与します。生体内でT細胞(癌細胞を殺傷するリンパ球)を増加させます。
発熱悪寒・体液貯留・体重増加・低血圧・呼吸困難など。
2008年より腎がんの発がんメカニズムに基づいた分子標的薬の使用が可能となりました。
ここでは、現在までに認可された6剤について、代表的な副作用の対応を中心に紹介します。
通常、成人にはソラフェニブとして1回400mgを1日2回経口投与します。
通常、成人にはスニチニブとして1日1回50mgを4週間連日経口投与し、その後2週間休薬します。これを1コースとして投与を繰り返します。
通常、成人にはヴォトリエントとして1回800mgを1日1回経口投与します。
通常、成人にはインライタとして1回5mgを1日2回経口投与します。
通常、成人にはアフィニトールとして1回10mgを1日1回経口投与します。
通常、成人にはトーリセルとして1回25mgを1週間毎に点滴します。
ネクサバールやスーテントといった分子標的治療薬の代表的な副作用には、手足症候群、高血圧、下痢、甲状腺機能低下症などがあります。
腎移植では通常、月に1度の通院ですみますが、透析の場合週に3回透析センターで透析しなければいけません。1月にすると50時間以上を透析センターで過ごさなければいけないことになります。学業や仕事がある場合、透析は大きな障害になります。
手足の皮膚に、水疱、出血、腫脹、潰瘍、亀裂、膿疱、疼痛を生じ、歩行障害などの機能障害をきたすことがあります。
多くは、服用を始めて1ヶ月以内に発現します。
ほとんどが分子標的薬の減量によって、2~3日で改善します。
局所療法が有効で、発現前から予防的に使用しておくのが効果的です。
比較的高頻度で出現します。もともと高血圧で、降圧剤を服用している患者さんは、難治性となる可能性が高くなります。
服用を始めて早い時期に出現します。
高頻度に発現します。服用が長期になるほど、重症度が高くなります。
軟便で排便回数が多くなるのが特徴です。
いずれのタイミングでも発現します。
甲状腺ホルモンの分泌量が不十分になり、様々な症状となって現れます。
無力感、皮膚の乾燥、発汗減少、便秘、体重増加などが現れます。
多くは、服用を始めて2週間以降に発現します。
脳転移 | 外科的療法 放射線療法(ガンマナイフ)など |
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肺転移 | 免疫療法 外科的療法など |
肝転移 | 免疫療法、外科的療法など |
リンパ節転移 | 免疫療法、外科的療法など |
骨転移 | 免疫療法 外科的療法 放射線療法など |
進行度 Ⅰ | 手術 |
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Ⅱ | 手術 |
Ⅲ | 手術 |
Ⅳ | 手術、薬物療法、転移巣摘除術など |