泌尿器科コラム

Column

腎がんロボット手術の実際

当科では、小径腎がんに対して積極的に腎部分切除術を行っています。

正常腎を可能な限り温存することで、心筋梗塞などの心血管系疾患を予防し、生存率を延長させることができるからです。

また、腎機能が悪い患者さんに対しても、腎部分切除術を行うことで、透析が回避できます。

中には、手術前の画像検査で腎がんと診断されたものの、手術後の病理検査の結果、良性疾患だったというケースもあります。その場合、腎臓の全摘は過剰医療につながりますが、腎部分切除術であればそうした状況を回避できます。

日本では2016年以降、ロボット支援腎部分切除が保険適応となり、当科ではT1腎腫瘍の90%以上をロボット支援手術で行っています。

現在(2017年9月末日)までに、累計500例のロボット支援腎部分切除術が行われました。この数は国内最多です。

ロボット支援腎部分切除術の流れ

  • 外来

    ①外来受診

    腎腫瘍の疑いのある患者さんは、外来受診していただきます。診断にあたっては、CT検査やMRI検査を行います。他院で検査を行った場合は、検査結果を持参していただけると助かります。

    ②手術前検査

    手術に耐えられる全身状態かを検査します。具体的には、採血、尿検査、心電図、肺活量などです。合併症のある患者さんは、循環器内科など他の診療科と協力して精査します。

    ③麻酔科診察

    手術では全身麻酔が必要となります。麻酔科医師との面接で、麻酔に関する説明を行います。

    ④手術説明

    手術の詳細説明を行います。入院手続きもその際に行います。

    以上の手続きは、外来で行います。合併症の無い患者さんは、通常2回の通院ですみます。ただし、合併症のある患者さんは複数の検査が必要になりますので、複数回の通院が必要です。

  • 入院

    手術前日に入院します。合併症のある患者さんは、数日前に入院していただく可能性があります。
    手術当日。手術時間は2〜3時間です。ただし、腫瘍の大きさや内臓脂肪の程度で手術時間は変わります。平均出血量は50〜100ccです。術後は一般病室に戻りますが、合併症のある患者様は集中治療室にて管理します。
    手術後1日目。歩行、食事が始まります。
    手術後2日目。しっかりと歩行や食事ができるか観察します。
    手術後3日目以降に退院します。

    通常は、手術後3日目に退院となります。ただし、合併症の多い患者さんや手術後の回復が遅れている患者さんは、退院が数日延期となることがあります。