腎臓小児科はあらゆる小児腎泌尿器疾患について専門的な診療を行っておりますが、臨床研究にも力を入れて取り組んでいます。主な研究分野は以下の通りです。
1. 小児慢性腎不全の治療研究(腎移植・透析療法)
ABO血液型不適合生体腎移植、特別な配慮を要する腎移植(巣状分節性糸球体硬化症、多発性嚢胞腎、下部尿路異常合併例など)、献腎移植、腹膜透析における被嚢性腹膜硬化症の研究などを行っています。
これまでの当科の実績を含めた最新知見を服部元史前教授が出版されています。
服部元史 編
小児末期腎不全の臨床
東京医学社、2024年
2. ネフローゼ症候群・巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)の病態解明・治療開発
病因としての抗ネフリン抗体の解析、次世代シーケンサーを用いたFSGSの遺伝子解析をベースとして、腎移植後再発の予防・治療も含めた新たな治療戦略の確立をめざしています。
これまでの当科の経験と最新の知見を服部元史前教授が出版されています。
服部元史 著
難治性ネフローゼ症候群 巣状分節性糸球体硬化症FSGSの臨床
東京医学社、2023年
3. IgA腎症をはじめとする腎炎の治療研究
詳細な腎生検診断に基づき、患者さんに適した治療と研究を行っています。
4. 小児腎疾患に対するアフェレシス治療の研究
重症腎炎や難治性ネフローゼ症候群(FSGSを含む)、ABO血液型不適合生体腎移植などを対象として、必要に応じて血漿交換やLDL吸着療法などを行っています。
5. 小児腎領域の希少・難治性疾患(エプスタイン症候群、ロウ症候群などの尿細管機能異常症)の調査研究
エプスタイン症候群の遺伝子解析・免疫染色による診断、腎病理、治療の研究、ロウ症候群の診断、疫学調査、長期予後の研究などを行っています。
厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業小児腎領域の希少・難治性疾患群の全国診療・研究体制の構築(https://pckd.jpn.org)参照
また、学会主導のガイドラインの作成や委員会報告にかかわり、また多くの厚生労働科学研究にも参加して小児腎臓病診療の向上に努めています。