膝関節グループ
岡崎賢(おかざきけん) 教授・講座主任
- 卒業年と卒業大学
- 1993年 九州大学
- 専門医などの資格
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- 日本専門医機構認定 整形外科専門医
- 日本整形外科学会認定スポーツ医
- 日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
- 日本リウマチ学会指導医・専門医
- 日本膝・関節鏡・スポーツ整形外科学会関節鏡技術認定医
- 厚生労働大臣認定外国人医師臨床修練指導医
- 日本人工関節学会認定医
- 専門領域と主な術式
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- 膝関節外科(人工膝関節置換術、膝周囲骨切り術、関節鏡下靱帯再建術など)
- ひとこと
- 整形外科は、患者さんの日々の生活における痛みや不自由を取り除くために、各分野における最新の治療法を研鑽し、提供しています。膝関節外科においては、患者さんの病態とニーズによって、人工関節置換術や骨切り術などから、その患者さんに最適と思われる方法を選択しています。スポーツなどによる靱帯・半月・軟骨損傷には、関節鏡下手術によって、ケガする前のスポーツレベルに早く復帰できるように努めています。
伊藤匡史(いとうまさふみ)講師
- 卒業年と卒業大学
- 2003年 金沢大学
- 専門医などの資格
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- 日本整形外科学会専門医
- 日本人工関節学会認定医
- 早稲田大学理工学術院客員准教授
- 博士(生命医科学)
- 日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(JOSKAS)評議員
- 専門領域と主な術式
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- 膝関節外科(各種人工膝関節置換術、膝周囲骨切り術、靭帯再建術および靭帯修復術、半月板修復術、軟骨修復)
下肢関節鏡視下手術(膝関節鏡: 靭帯再建術および靭帯修復術、半月板修復術、軟骨修復術。股関節鏡:股関節唇修復術、股関節形成術。足関節鏡:鏡視下固定術、遊離体摘出術)
- 膝関節外科(各種人工膝関節置換術、膝周囲骨切り術、靭帯再建術および靭帯修復術、半月板修復術、軟骨修復)
- ひとこと
- 当院で2007年から膝関節外科分野に従事し、現在に至るまで膝関節外科手術の全領域(変形性膝関節症、膝軟骨損傷、膝半月板損傷、膝靭帯損傷などの変性疾患やスポーツ外傷・障害)に対して専門治療を多くの患者さんに行っています。
また一般的な病態はもちろん、当院の特色である多くの難治病態、特殊病態の患者様の手術治療を行ってきました。患者さん各個人の要望に応じて、最適な手術方法を細かく決めています。
その他に、より良い医療を患者様に提供するための研究を行っています。人工膝関節や膝周囲骨切り術では手術を安全かつ正確に行うための新規医療機器の開発を行っています。また現在、前十字靭帯再建手術では自分の腱組織を再建靭帯の材料とするのが主流です。しかし再建術のために健康な腱を切除するため、その部位の筋力低下が起きてしまうのはスポーツ選手にとって重要な問題です。その問題を解決すべく、”自己組織を切除しない生体由来の靭帯“の開発を早稲田大学やCore tissue Bio Engineering株式会社と共同で行っています。
桑島海人(くわしまうみと)講師
- 卒業年と卒業大学
- 2006年 鹿児島大学
- 専門医などの資格
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- 日本整形外科学会専門医
- 専門領域と主な術式
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- 膝関節外科、外傷
- ひとこと
- 患者さん一人一人が持っている膝関節に関する悩みに正面から向き合い、その人に最も適した治療を行えるよう努力していきます。膝関節でお困りの事がありましたらお気軽にご相談ください。
伊藤淳哉(いとうじゅんや)
- 卒業年と卒業大学
- 2011年 愛媛大学
- 専門医などの資格
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- 日本整形外科学会専門医
- 専門領域と主な術式
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- 膝関節外科、外傷一般
- ひとこと
- 膝関節に痛みや不自由を生じる患者さんは数多くおられます。患者さんにとって最も適切な治療法は何か、常に研鑽をつみながら考えていきたいと思います。
班目ひろみ(まだらめひろみ)助教
- 卒業年と卒業大学
- 2013年 東京女子医科大学
- 専門医などの資格
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- 日本整形外科学会専門医
- 日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医
- 専門領域と主な術式
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- 股関節、整形外科一般
- ひとこと
- 丁寧な診療、分かりやすい説明を心がけます。
股関節痛でお困りの方はご相談ください。
大谷俊哉(おおたにしゅんや)
- 卒業年と卒業大学
- 2014年 大阪市立大学
- 専門医などの資格
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- 日本整形外科学会専門医
- ひとこと
- 患者さんのニーズに合わせた治療を心がけています。
まずはお話を伺い、一人一人にあった治療をご提案できればと思います。
診療概要
変形性膝関節症
変形性膝関節症は加齢や骨折などの怪我のあとに徐々に進行する関節の変性疾患です。軟骨が最初にすり減ってきて、さらに病状が進むと膝関節の骨そのものがすり減ってきます。初期や軽症の患者様は痛み止めの薬や注射などで痛みをおさえられますが、進行すると注射や痛み止めの薬が効きにくくなってきて、痛みも強くなるので日常生活が強く制限されます。したがって薬や注射が効かなくなってきた変形性膝関節症の患者様には痛みを軽くして、膝の動きを良くするため手術治療が行われます。 現在、当科で広く行われている手術は、高位脛骨骨切り術 (high tibial osteotomy:HTO)、単顆人工膝関節置換術 (以下UKA)、人工膝関節全置換術(以下TKA)などです。
HTO(高位脛骨骨切り術)
内反膝(O脚)が進行し、そのせいで膝の内側に痛みが起こっている患者様に対して、すねの骨の膝に近い所で切れ込みを入れて、すねの骨の形を変えてO脚をまっすぐの脚(ややX脚)に矯正する手術方法です。術後も長時間の荷重を伴う仕事を継続したい、スポーツ継続希望のある比較的活動性の高い患者様が適応です。(※)40~60歳代の方が適応となることが多いですが、患者様の希望によってはこの限りではなくスポーツ継続希望で肉体的に元気ならば70歳以上の方にも行っています。またこの手術は基本的に、主な障害が膝の内側のみにあり、膝の靭帯の機能がしっかりとしていて、かつ膝の曲げ伸ばしがしっかりと出来る患者様が良い適応となります。
UKA(単顆人工膝関節置換術)
障害されている部分のみを人工関節で置換する手術方法です。多くは膝の内側のみに行うこととなります。TKAに比べて骨を切る量が6分の1程度ですので、体に掛かる負担が少なく、術後の筋力回復も早く、膝関節可動域も良いです。膝関節の中の健常な部分を多く残せるので術後の違和感もTKAと比べて少ないです。しかし、TKAと比較して小さい部品で体重を支えるため、本来はTKAを行うべきである変形が強い患者様や膝の靭帯機能が悪い患者様に行うと人工関節部品の不具合がTKAよりも多く出るので、適応を慎重に決める必要があります。またこの手術は基本的に、主な障害が膝の内側のみにあり、膝の靭帯の機能がしっかりとしていて、かつ膝の曲げ伸ばしがしっかりと出来る患者様が良い適応となります。適応に関して、先程のHTOと少し似ていますが、こちらはHTOより除痛効果が優れますが、その代わりに人工関節を長持ちさせるため術後の激しいスポーツ活動は基本的に控えて頂く事になります。
TKA(人工膝関節全置換術)
すねの骨と太ももの骨を膝関節部分で内側と外側の骨の表面を約1cmの厚みで人工関節の形に合わせてカットして患者様個人の骨の大きさに合致したサイズの人工関節を設置する手術です。すねの骨と太ももの骨の関節表面は特殊合金製の人工関節がくっつき、その間にはポリエチレンという特殊なプラスチック(軟骨の代わりになります)が入ります。また、膝の前面にあるお皿の骨(膝蓋骨)も1cm弱の厚みでカットしてポリエチレンという特殊なプラスチック(軟骨の代わりになる)をくっつける場合もあります。術後の違和感、膝の曲がりなどに関してはUKAに劣ります。しかし耐用年数、適応範囲の広さ(ほとんど全ての末期かつ高度の変形性関節症の患者様に対応可能です)、曲がった脚を真っ直ぐにする、伸びない膝を伸ばすことが出来る、などの利点を持った手術法です。手術患者様の数も多く、一般化されてから40数年の歴史を経て着実に進歩しており、現在ではなくてはならない手術方法となっています。
両ひざ人工関節術後患者さんのゴルフスイング
膝靭帯損傷
前十字靭帯は自然治癒能が低く、放置すると不安定な膝となります。これを放置すると、膝崩れ(膝がガクッとなること)を繰り返します。膝崩れを起こすたびに膝の中では軟骨や半月板と言われる大事なクッションが傷んですり減っていきます。その結果、若くして変形性膝関節症に至ります。こうなってしまうと膝の痛みが常に出てくるようになります。この時点で前十字靭帯再建手術を行っても、変形性膝関節症を治すことは出来ません。よって前十字靭帯損傷になった場合は早期に診断して、十分手術の条件を整えてから再建手術を行うことが推奨されています。手術は靭帯再建術といって自分の体の中から取ってきても大きな問題とならない腱や靭帯を取り出して、本来の前十字靭帯と同じようなサイズに採型します。それをもともと前十字靭帯があった場所に固定する方法が行われています。自分の体の一部を使った移植手術ですので成績も安定しています。当科でも関節鏡を使用した解剖学的二重束再建術を行い、良好な成績を得ています。
研究概要
1.グループの研究テーマ
- Medial stabilizing gap technique人工膝関節全置換術における術中Gap balanceと関連因子の検討
- Kinematic alignment人工膝関節全置換術に対するasymmetrical designed implantの有用性
- 高位脛骨骨切り術における術前変形と術後臨床成績の関連
- 大腿骨遠位骨切り術における有限要素解析法を用いた研究
- 自己組織を犠牲としない生体由来組織を用いた靭帯再建用グラフトの開発
- 高位脛骨骨切り術中の神経血管損傷予防の新規医療デバイスの開発
- 人工膝関節置換術前後の膝蓋腱の変化(MRIでの評価)
- モバイルCS人工膝関節全置換術の非置換膝蓋骨アライメントの比較
- 人工膝関節置換術後の膝周囲の痺れの調査
- 内側開大脛骨高位骨切り術後のForgotten joint score-12での評価の妥当性の検証
- 人工膝関節全置換術後のForgotten joint score-12に影響する因子
2.膝関節グループ学術論文(2020年以降)
- ○Itoh M, Itou J, Imai S, Okazaki K, Iwasaki K. A survey on the usage of decellularized tissues in orthopaedic clinical trials. Bone Joint Res. 2023 Mar 7;12(3):179-188. doi: 10.1302/2046-3758.123.BJR-2022-0383.R1. PMID: 37051813.
- ○Itoh M, Itou J, Okazaki K, Iwasaki K. Estimation Failure Risk by 0.5-mm Differences in Autologous Hamstring Graft Diameter in Anterior Cruciate Ligament Reconstruction: A Meta-analysis. Am J Sports Med. 2023 Mar 6:3635465221150654. doi: 10.1177/03635465221150654. Epub ahead of print. PMID: 36876736.
- ○Itou J, Kuramitsu Y, Hatta S, Okazaki K. AP3×ML3 reduction quality classification for femoral trochanteric fractures: validation for reliability focusing on positive medial cortical support. J Orthop Surg Res. 2023 Jan 24;18(1):64. doi: 10.1186/s13018-023-03555-5. PMID: 36694258; PMCID: PMC9875386.
- ○Itou J, Kuwashima U, Itoh M, Okazaki K. High tibial osteotomy for medial meniscus posterior root tears in knees with moderate varus alignment can achieve favorable clinical outcomes. J Exp Orthop. 2022 Jul 7;9(1):65. doi: 10.1186/s40634-022-00504-9. PMID: 35796797; PMCID: PMC9263016.
- ○Itou J, Kuwashima U, Itoh M, Okazaki K. Effect of bone morphology of the tibia plateau on joint line convergence angle in medial open wedge high tibial osteotomy. BMC Musculoskelet Disord. 2022 Jun 13;23(1):568. doi: 10.1186/s12891-022-05526-z. PMID: 35698222; PMCID: PMC9195202.
- ○Itoh M, Imasu H, Takano K, Umezu M, Okazaki K, Iwasaki K. Time-series biological responses toward decellularized bovine tendon graft and autograft for 52 consecutive weeks after rat anterior cruciate ligament reconstruction. Sci Rep. 2022 Apr 25;12(1):6751. doi: 10.1038/s41598-022-10713-y. PMID: 35468916; PMCID: PMC9038763.
- ○Kuwashima U, Itoh M, Itou J, Okazaki K. Tibial shaft fracture after medial open-wedge distal tibial tuberosity osteotomy: A case report. Clin Case Rep. 2022 Apr 21;10(4):e05697. doi: 10.1002/ccr3.5697. PMID: 35474977; PMCID: PMC9021932.
- ○Itou J, Kuwashima U, Itoh M, Okazaki K. Perioperative varus alignment does not affect short-term patient-reported outcome measures following mobile-bearing unicompartmental knee arthroplasty. J Orthop Surg Res. 2022 Feb 15;17(1):98. doi: 10.1186/s13018-022-02999-5. PMID: 35168658; PMCID: PMC8848965.
- ○Itoh M, Itou J, Kuwashima U, Okazaki K. Correlation of patient-reported numbness around surgical scars with patient-reported outcome measures and joint awareness after knee replacement: a cohort study. BMC Musculoskelet Disord. 2022 Jan 3;23(1):14. doi: 10.1186/s12891-021-04971-6. PMID: 34980073; PMCID: PMC8725250.
- ○Itou J, Kuwashima U, Itoh M, Okazaki K. No difference in the incidence or location of deep venous thrombosis according to use of pharmacological prophylaxis following total knee arthroplasty. BMC Musculoskelet Disord. 2021 Sep 23;22(1):819. doi: 10.1186/s12891-021-04707-6. PMID: 34556125; PMCID: PMC8461882.
- ○Itou J, Kuwashima U, Itoh M, Okazaki K. Anterior prominence of the femoral condyle varies among prosthesis designs and surgical techniques in total knee arthroplasty. BMC Musculoskelet Disord. 2021 Sep 12;22(1):784. doi: 10.1186/s12891-021-04670-2. PMID: 34511101; PMCID: PMC8436424.
- ○Itoh M, Itou J, Kuwashima U, Okazaki K. Good Validity and High Internal Consistency of the Forgotten Joint Score-12 in Patients After Medial Opening Wedge High Tibial Osteotomy. J Arthroplasty. 2021 Aug;36(8):2691-2697. doi: 10.1016/j.arth.2021.03.028. Epub 2021 Mar 13. PMID: 33812712.
- ○Kuwashima U, Iwasaki K, Kurakazu I, Akasaki Y, Nakashima Y, Itoh M, Itou J, Okazaki K. Effect of osteoarthritis severity on survival and clinical outcomes after high tibial osteotomy. Knee. 2021 Mar;29:441-447. doi: 10.1016/j.knee.2021.02.031. Epub 2021 Mar 17. PMID: 33743259.
- ○Itou J, Kuwashima U, Itoh M, Kuroda K, Yokoyama Y, Okazaki K. Monocortical fixation for locking plate distal screws does not impair mechanical properties in open-wedge high tibial osteotomy. BMC Musculoskelet Disord. 2021 Feb 8;22(1):157. doi: 10.1186/s12891-021-03999-y. PMID: 33557809; PMCID: PMC7871549.
- ○Itou J, Itoh M, Kuwashima U, Okazaki K. Assessing the Validity of a New Prediction Model for Patient Satisfaction After Total Knee Arthroplasty: A Retrospective Cross-Sectional Study. Orthop Res Rev. 2020 Sep 9;12:133-137. doi: 10.2147/ORR.S271253. PMID: 32982488; PMCID: PMC7490064.
- ○Kuwashima U, Yonekura A, Itoh M, Itou J, Okazaki K. Tibial condylar valgus osteotomy - indications and technique. J Exp Orthop. 2020 May 13;7(1):30. doi: 10.1186/s40634-020-00247-5. PMID: 32405777; PMCID: PMC7221090.
- ○Itou J, Itoh M, Maruki C, Tajimi T, So T, Kuwashima U, Okazaki K. Deep peroneal nerve has a potential risk of injury during open-wedge high tibial osteotomy. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2020 May;28(5):1372-1379. doi: 10.1007/s00167-019-05445-y. Epub 2019 Mar 5. PMID: 30834477.