SPECT/CT:ガンマカメラとCTが一体化
SPECT/CT装置は、ガンマカメラとCTが一体となった装置であり(図4)、最近普及が進んでいる。ガンマカメラ(SPECT)部分で通常の核医学検査が実施できるが、さらにCT撮影を併用することで、つぎに述べるようなメリットが得られる。
1) 核医学とCTの融合画像を作成できること
一体化した装置により、お互いに位置ずれのない核医学画像とCT画像を重ね合わせて表示することで、核医学の機能・代謝画像とCTの解剖学的位置・形態情報を一括して観察できるようになる。このことで、核医学画像単独では判断が困難な生理的集積と異常集積の区別、異常集積がどこの部位に該当するのかなどについて、正確かつ迅速に判断ができるようになる(図5)。とくに、Ga-67腫瘍・炎症、Tc-99m MIBI 副甲状腺、Tc-99m MAA 肺血流、I-123 MIBG腫瘍、Tc-99mコロイドセンチネルリンパ節などのSPECT検査で有用性が期待される。
2) CTを利用した正確な減弱補正ができること
体の深部にある集積部位から放出される放射線は、体外の検出器に届くまでに組織で減弱される。そのため、集積程度を本来よりも少ないか、あるいは集積がないとされる可能性がある。これに対して、CT画像を用いて組織の減弱程度を計算し、この結果を核医学画像の補正に利用して、本来の集積程度を再現して表示することができる。このため、体深部にある集積がより明瞭に見えるようになる。これを用いて体幹部の一般のSPECTの他、心筋血流、脳血流などのSPECT検査で有用性が期待される。
以上のメリットの反面、通常の核医学検査に比較してCT分の放射線被ばくが増えるというデメリットもある。当院では、通常の診断用CTに比べて被ばく線量の抑制が可能なコーンビームCTを装着したSPECT/CTも使用している。特に被ばくについて注意が必要な小児の検査の場合、CTを加えることでの被ばく線量の増大は1mSv以下に抑えられている。