教室の特徴

東京女子医科大学整形外科学教室は1924年(大正13)開講以来、90年以上にわたる、我が国有数の長い歴史を持つ教室です。特に田川宏先生による寛骨臼回転骨切り術、伊藤達雄先生による頸椎椎弓形成術、加藤義治先生による透析に伴う破壊性脊椎関節症や骨粗鬆症などの輝かしい業績は広く知られるところです。
平成29年4月より、第8代の講座主任教授として岡崎賢先生が就任しました。専門である膝関節外科をはじめ、脊椎・股関節・肩関節・足・上肢・腫瘍・骨粗鬆症など、あらゆる分野でのさらなる発展を目指し、臨床・教育・研究にと日々邁進しております。 当教室は、本学卒業生をはじめ、全国の様々な大学から志を持った医局員が集まってきています。わけ隔てのない、アットホームな雰囲気が、当教室の魅力であり特徴です。

整形外科専門研修プログラムについて

①概要

日本整形外科学会の正会員となってから4年間という最短期間で日本整形外科学会専門医試験の受験資格を取得できる研修カリキュラムを履修します。また正会員となってから3年間は日本整形外科学会が認定する複数の教育施設(関連病院)で研修することになります。専門医になるためには、専門性の高い特殊症例(小児整形疾患や骨・軟部腫瘍疾患)を主治医として経験しなくてはなりません。この様な症例は一般病院では経験する頻度が低いため、当科の研修カリキュラムでは、千葉こども病院や国立がんセンターの研修を組み込んでいます。また各研修医に対してマンツーマンで研修指導医(厚労省認定)を指名し、責任をもって初めの1年間で学会発表(国内・国際学会参加を義務付けている)、学術論文作成の指導を行っています。日本整形外科学会専門医取得後は、脊椎脊髄病医、スポーツ専門医、リウマチ専門医などのサブスペシャルティ資格取得も可能です。女性医師のための妊娠、出産、育児に対する勤務体制のバックアップも充実しています。

整形外科専門医取得のためには、全カリキュラムを脊椎、上肢・手、下肢、外傷、リウマチ、リハビリテーション、スポーツ、地域医療、小児、腫瘍の10の研修領域に分割し、それぞれの領域で定められた単位数以上を修得し、4年間で48単位を修得する必要があります。当科のプログラムでは、基幹施設および連携施設をローテーションすることで、必要症例数をはるかに上回る症例を経験することが可能です。また東京女子医科大学整形外科卒度研修セミナーをはじめ、外部の学会での発表と論文執筆を行うことによって、各専門領域における臨床研究に深く関わりを持つことができます。本研修プログラム修了後に、大学院への進学やサブスペシャリティ領域の研修を開始する準備が整えられます。

②目的

東京女子医科大学病院では創立者の教育、研究、診療の基盤である「至誠と愛」を病院の基本理念にかかげ、誠実で慈しむ心で診療にあたることをモットーとし、 患者さんの視点にたったきめ細やかで温かい心の通った医療を実践しています。整形外科学としてこの理念を達成するために、専門研修プログラムとしては、以下の4点の修得を重要視しています。

豊富な知識
整形外科医師としてあらゆる運動器疾患に関する知識を系統的に理解し、さらに日々進歩する新しい知見を時代に先駆けて吸収し続ける。
探究心
あらゆる運動器疾患に対する臨床的な疑問点を見出して解明しようとする姿勢を持ち、その解答を科学的に導き出し、論理的に正しくまとめる能力を身につける。
倫理観
豊かな人間性と高い倫理観の元に、整形外科医師として心のこもった医療を患者に提供し、国民の運動器の健全な発育と健康維持に貢献する。
実践的な技術
豊富な症例数に基づいた研修により、運動器全般に関して的確な診断能力を身につけ、適切な保存療法、リハビリテーションを実践する。そして基本手技から最先端技術までを網羅した手術治療を実践することで、運動器疾患に関する良質かつ安全な医療を提供する。

③研修コースの具体例

本専門研修コースの具体例として下表のごとく、専門研修施設群の各施設の特徴(脊椎外科、関節外科、スポーツ医学、手外科、外傷、腫瘍)に基づいた研修が受けられます。各専門研修コースは、専攻医の希望を考慮して設定されます。

専門研修施設群の各施設の特徴に基づいた研修

④研修プログラムの施設群について

東京女子医科大学整形外科が専門研修基幹施設となり、以下の連携施設と専門研修施設群を構成します。すべての施設が専門研修連携の認定基準を満たしています。

東京女子医大大学病院整形外科専門研修プログラム

⑤研修プログラム申し込みに関して

詳細は下記リンク先をご参照ください。

東京女子医科大学 後期臨床研修制度

大学院について

国内有数の症例数を誇る透析脊椎症例を含んだ、豊富な脊椎症例での臨床研究、人工関節だけでなく近年のトピックであるAround Knee Osteotomy(AKO)といった骨切り症例を用いた膝関節疾患に対する患者立脚型アウトカムも含めた臨床研究、3Dソフトを用いた画像解析やバイオメカニクス研究を実施しています。さらに、国内有数のリウマチ症例数を誇るIORRAコホートを用いた臨床研究を行っています。
また大型動物を用いた、あたらしい前十字靱帯再建材料の研究を、東京女子医科大学・早稲田大学連携先端生命医科学研究教育施設(TWIns)で行っています。
国内外の留学も推奨しています。