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発見!!女子医大

歴史を刻んだ卒業生history

岡本歌子(昭和16年卒業/1918年〜2016年)

〜“The Lancet”に紹介された国際的生理学者〜


“The Lancet”といえば世界五大医学雑誌として有名ですが、その“The Lancet”に、足跡を2回も紹介された卒業生がいます。

岡本歌子(旧姓:阿部)は1918年、東京下谷の神職の家に生まれました。物理学の恩師との出会いから医学の道を志して東京女子医学専門学校に入学。1941年に卒業後、本学生理学教室に入室して研究者としての第一歩を踏み出しました。後に移った慶応義塾大学でパートナーとなる岡本彰祐と出会い、彰祐との共同研究で1950年代に「トラネキサム酸」を発見して止血剤開発に大きな功績を挙げたことで世界的に知られています。1966年に新設された神戸学院大学栄養学部生理学教室の教授に就任し、また、彰祐とともに「血栓止血研究神戸プロジェクト」も立ち上げました。2004年からは亡夫の遺志を継いで一昨年までプロジェクト代表を務め、まさに生涯現役の研究者でした。

第一線の生理学者として国際的な成果を挙げる一方で、歌子は女性がキャリアを積みにくかった時代に家庭と仕事を両立した先駆者でもありました。託児施設がなくて研究室に子どもを寝かせたり、日本の学童保育の先駆けである「すずめの学校」を夫とともに自宅で始めたりするなど、男女共同参画の面でも積極的に行動して後進への道を開いて行ったのです。

2012年、3月8日の国際女性デーに合わせて歌子の半生が “The Lancet”に紹介されました。そして2016年6月、“The Lancet”には多くの困難を乗り越えて女性研究者としてのキャリア継続させた歌子の逝去を悼む記事が掲載されました。4月1日に98歳の誕生日を迎えてから間もない逝去でした。

図書館では自叙伝『ある女性科学者の一世紀』や『岡本彰祐アンソロジー』を読むことができます。また、去る2014年には吉岡彌生記念室にて特別展示「卒業生の足跡3 岡本歌子展〜“The Lancet”に紹介の国際的生理学者かつ男女共同参画の先駆者〜」を開催し、歌子本人の来室・見学も得ました。 岡本歌子先生のご冥福を心よりお祈り致します。





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