このたび、日本医工学治療学会第26回学術大会の大会長を仰せつかることになり、大変光栄に存じております。会期は2010年4月2日(金)〜4日(日)で都市センターホテル、ホテル・ルポール麹町(東京・千代田区)にて開催いたします。
私は以前、本学会の前身である医工学治療研究会の設立発起人のお一人である阿岸 鉄三先生(東京女子医科大学名誉教授、現ふれあい町田ホスピタル血液浄化センター長)の下で仕事をしていた関係で、本研究会設立当初からお手伝いさせていただきました。従って私に取りまして、思い入れの特に強い学会であります。
当初「医工学治療」という言葉は、academicな医工学とmedicalな治療という、互いに相容れあい言葉が連なった印象をもち、違和感を禁じ得なかったことを覚えています。しかし、会の内容を見聞きするうちに医工学で培われた基盤技術がいかにして治療へ応用させていくかという観点で議論する重要性をすぐに認識した次第です。その当時すでに医学と工学の学際領域を扱う学会はいくつも存在していましたが、このような観点で議論することは少なく、工学系は新しい技術を作りっぱなしで自己満足し、臨床医学系はそれを手当たり次第使ってみて自分勝手に評価するだけと言った風潮が強かったように思われます。
実際、独創的な発想によって作り出された新しい技術を治療に応用するまでには、学際領域におけるpriorityの所在、実用化へ向けた産学連携のあり方、保険収載に向けた臨床試験の進め方など、いくつか乗り越えなければならない壁にぶつかります。それを克服するためには、大学等の研究機関、企業、医療機関などの専門家が一同に介し、真剣に議論する場が必要であり、それが日本医工学治療学会の使命の1つとと考えられます。
ここのような背景から本大会のテーマを「先端医工学技術の治療戦略」とし、いま一度本学会の設立当初の趣旨に立ち戻り、熱く討論できる場を提供できればと考えています。すでに広く臨床応用されている血液浄化、体外循環、呼吸補助等の医工学治療のみならず再生医療、遺伝子、ナノテクなど、今後臨床応用が期待される先端技術をいくつか取り上げ、会員とともに突っ込んだ議論ができれば考えております。
多数のご参加をお待ちしております。
日本医工学治療学会
第26回学術大会
大会長
東京女子医科大学
臨床工学科 教授
峰島 三千男