肺癌の組織分類
-WHO第3版および2004年版を中心に-
WHOによる肺癌の組織分類は、1967年に第1版が発行され、1981年に改訂第2版(図左)が発行され、最近まで、この分類が用いられていました。しかし、近年の肺癌に関する新しい知見の蓄積により、第2版では対応できなくなり、1999年に第3版(図真中)が改訂されました。また、2004年に、Pathology and Genetics(図右)として、新しい本が発行されました。2004年版は、組織分類に詳しい解説がつき、また遺伝子異常に関する記載も加わりました。組織分類自体は、大筋では1999年の第3版と同じですが、多少の変更があります。
第3版の主な変更点
- 前浸潤性病変として、3つの病変を設けました。
- 異形成、上皮内癌
- 異型腺腫様過形成
- びまん性特発性肺神経内分泌細胞過形成
- 腺癌の分類を厳密にし、亜型が混在する腫瘍は混合型腺癌としました。
- 神経内分泌腫瘍に、大細胞神経内分泌癌が加わりました。
- 肉腫様成分を含む癌を、多形、肉腫様、あるいは肉腫成分を含む癌としてまとめました。
これらの第3版で変更された点を中心に説明します。
第45回日本呼吸器学会学術講演会 教育講演 (2005.4.15 於幕張) より
東京女子医科大学八千代医療センター病理診断科 廣島健三