当科の教育方針としては、経験豊富で、診療能力の高い皮膚科医を育成することにあります。研究面においても臨床の現場に密接に関連したものに取り組むことを心がけております。
臨床の現場では、当院には毎日4000人を超す外来患者が訪れ、日本全体をみても3指に入る患者数を誇っています。当院は外来患者数が多く、診療能力の向上のためには欠かせない患者絶対数と、研究対象となる多彩な疾患との遭遇の機会には事欠かない状況にあり、かつそれを十分に行える施設にも恵まれてきました。また、皮膚は内臓をうつす鏡、心をうつす鏡であり、他の科の疾患との関連が深い臓器です。多くの診療科を有する当院でなくては経験できないまれな皮膚疾患に巡り会うことも珍しくはなく、種々の皮膚疾患の治療に携わる機会を与えられます。大学病院は最後の砦としての役割も担っており、当科でも重症感染症の治療、皮膚悪性腫瘍の診断、手術、化学療法も行っております。
当院は日本唯一の女子医科大学として、その歴史的背景からもわかるように、常に女性の医学教育に惜しみない努力を続けてきました。その考えは医局の教育方針にも反映されております。男女の区別なく、平等に診療、研究や学会発表、論文作成、教育にも携わる機会を与えてきております。また、学閥的バリアも全くなく、これまでの入局者は全国の20大学を超えるさまざまな大学の卒業生がみられます。
皮膚疾患は病変が見えてしまうため、想像以上に患者さんの精神的負担が大きいのも特徴といえます。そのため、患者さんの要求度も高く、それに応えるためには常に新しい知識の取得と技術の向上に対する努力は欠かせません。我々はそれを実践し、高い診断能力をもち、種々の要求に対応できる“良医”の養成を目指しております。