東京女子医大病院皮膚科では、皮膚に現れる様々な皮膚疾患全般の診察にあたっています。また、大学病院としての使命でもあります卒前・卒後教育を行い、将来の医療を担う人材の育成に力を入れています。同時に研究を行うことで、未だ病因や治療方法がわかっていない疾患の解明に努めています。
皮膚には、湿疹・皮膚炎、薬疹、細菌・真菌感染症、母斑(あざ)、皮膚腫瘍(良性・悪性)など様々な疾患があります。また、皮膚は内臓の鏡ともいいますが、内臓の病気によって出現する皮膚症状や治療によって引き起こされる皮膚症状も多くあり、それらの診察もすべて行っております。東京女子医大病院には全体で毎日約3500人の患者さんが来られており、皮膚科には約100人の患者さんが来院されます。
専門外来としては、アトピー性皮膚炎、じんましん、尋常性乾癬、膠原病、レーザーを設け、重症な方たちの診察や生物学的製剤などによる治療を適切に行っています。また、大学病院という性質上、皮膚に限局した症状のみならず、他科の疾患と関連して起こる皮膚症状を的確に判断することで、他科と連携した診療を心掛けています。特に当院で多くの患者さんが来院される膠原病リウマチ疾患、血管炎などについては、皮膚生検での診断を含め、しっかりと連携して診療にあたっています。外来手術ではほくろや粉瘤などの小手術を行い、植皮が必要な大きな手術は入院にて行います。近年女性における美容における関心はとても高いものがありますが、当科ではレーザー外来にて患者さんのニーズに応える診察を行い、しみやあざなどの治療にも取り組んでいます。水疱症や蜂窩織炎などの重症な疾患では、入院での速やかな対応を行っています。
卒前教育では、大学低学年での外来実習、テュートリアル教育(グループ学習)、中学年を対象に皮膚科全般・膠原病の皮膚症状などの講義、team-based learning(グループ学習と講義)、高学年でのグループ別の臨床実習、参加型臨床実習を行っています。卒後教育では、2年間の初期臨床研修医に対する皮膚科の基礎的な手技などの研修、3年目以降は後期臨床研修医として新専門医制度に則った研修を行い、5年間皮膚科医としての臨床経験を積んだ後に、皮膚科専門医受験資格を取得します。皮膚科入局者には本学出身者の他、国公立・私立大学を含め様々な大学出身者がいます。近年皮膚科を希望する女性医師が増えていますが、男女ともに専門医取得後も継続して皮膚科診療にあたることができる環境作りに医局全体で取り組んでいます。
研究では、患者さんの診察の中から気づいたことを研究テーマにとりあげ、それを発展し検討することで、最終的には患者さんの診療に寄与する研究となることを目指しております。これまで取り組んできた研究としては、アトピー性皮膚炎の病態におけるケモカインの役割の検討、顔面の皮膚炎に関与する細菌の病因的関与および遺伝子学的同定と治療法の検討、乾癬性関節炎の疫学調査、リベド症状を呈する疾患及び皮膚動脈炎における臨床・病理学的検討および抗リン脂質抗体の関与の検討、血管炎における病原微生物の検索、アトピー性皮膚炎の結合型セラミドに関する検討、皮膚動脈炎における炎症所見の動態と長期予後の検索などがあります。
女子医大の理念である「至誠と愛」(きわめて誠実であること、慈しむ心)を実践し、他施設や他科と連携して診察にあたり、良質で安全な医療の提供を第一と考え、それに向かって努力を続けることに全員が力を合わせて取り組んでいます。
氏 名 | 役 職 | 専 門 |
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石黒直子 | 教授・基幹分野長 | 膠原病、血管炎、蕁麻疹 |
山上 淳 | 准教授・外来統括 | 水疱症 |
竹中祐子 | 講師、病棟長 | アトピー性皮膚炎、ざ瘡、膠原病 |
鈴木瑞穂 | 助教、外来長 | 膠原病、血管炎 |
宮田龍臣 | 助教、医局長 | 乾癬、掌蹠膿疱症、蕁麻疹 |
近藤明里 | 助教 | アトピー性皮膚炎、乾癬 |
浦山佳織 | 助教 | 膠原病、蕁麻疹 |
児島祐華 | 助教 | アトピー性皮膚炎 |
伊藤まどか | 助教 | アトピー性皮膚炎 |
吉田 傑 | 助手 | 乾癬 |
今本聡美 | 助手 | レーザー |
松浦功一 | 助手 | レーザー |
小林里実 | 非常勤講師 | 乾癬、掌蹠膿疱症 |
福屋泰子 | 非常勤講師 | 手術 |
三上万理子 | 非常勤講師 | |
宮部千恵 | 非常勤講師 | 血管炎 |