ゲノム検査室における「がんゲノム医療」について
ヒトの体は約60兆個の細胞で構成されており、その数はほとんど一定に保たれています。
ある臓器において、この調整機構が破綻すると細胞が増殖し続け、やがて「がん」となります。
この原因は、細胞におけるゲノム(遺伝子)の変化です。
細胞ごとにゲノムの変化を調べて、副作用の小さい治療法を決定していく医療が「がんゲノム医療」です。


よくあるご質問はこちらからご確認ください。



Q1:がんの治療はどのように進歩していますか?

近年、がんの治療薬は目覚ましく発展し、多くの方が「がんサバイバー」として活躍しておられます。
がんの治療薬は、従来、がんの発生した臓器(肺、大腸、乳房など)やがんの種類(腺がん、扁平上皮がんなど)によって選択されます。
その治療はじゅうたん爆撃のようなものであるので、がんの周辺の正常細胞も傷つきます。

それに対して、がん細胞にだけピンポイントに作用する薬剤も開発されています。
これらの薬剤を「分子標的治療薬」といいます。
がん細胞への特異性が高いため、副作用も従来の抗がん剤と比べて少ないと考えられています。

Q2:がんゲノム医療とは何ですか?

ヒトの体は約60兆個の細胞で構成されており、その数はほとんど一定に保たれています。ある臓器において、この調整機構が破綻すると、細胞が増殖し続け、やがて「がん」となります。

この原因は、細胞におけるゲノム(遺伝子)の変化です。同じ臓器、同じ種類のがんであっても変化を起こしている遺伝子は患者さんごとに異なり、その変化に対する最適な治療法も一人ひとり異なります。そのため、手術や生検で摘出または採取したがん組織のゲノ ムを調べることで、変異を確認することができます。

つまり患者さんごと、また細胞ごとにゲノムの変異を調べて、その結果から有効性が高く、副作用の小さい治療法を決定していく医療が、「がんゲノム医療」です。

Q3:検査を受けるにはどうしたらよいですか?

本検査では、手術または生検で採取したがん組織血液(正常組織)のゲノムを調べて、
がんの原因となる遺伝子の変化を調べます。



対象となる患者さんは以下の2点を満たす方です。

  • 病理組織学的検査によってがんと診断された方
  • これからがん組織を採取する予定、または過去に採取したことがある方

※すでに手術や生検をされている方は、主治医にがん組織が保存されているか伺って下さい。

外来受診から治療までの流れをこちらからご覧いただけます。

Q4:検査の費用について教えて下さい。

検査項目と費用についてはこちらからご覧いただけます。

【検査を受けるにあたっての注意事項】

  • がんゲノム診断は保険診療の対象外となるため、患者さんご自身に費用の全額を負担いただきます。
  • 検査を申し込む場合には、ゲノム診療科における遺伝カウンセリングをお受けいただき、内容を十分にご理解いただいたうえで、同意書にサインをしていただきます。
  • がんゲノム検査の実施には、予めの費用の支払いが必要となります。ゲノム診療科における診療後に窓口でお支払いいただくか、振込となります。
  • 費用の納入を確認させていただいてから、ゲノム検査を開始いたします。


Q5:遺伝カウンセリングとはどのようなものですか?

遺伝カウンセリングは臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラーが行ないます。遺伝カウンセリングでは病気や遺伝に関する情報を提供します。そして、情報を元にご自身で考えをまとめられるように支援いたします。あるいは様々な解決方法を一緒に考えていきます。

遺伝に関してのみならず、さまざまな悩みについて、生活面のことについて、医療的なケアなどの相談、ご家族の心理的サポートを行います。

東京女子医科大学病院 ゲノム診療科では、臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラー(臨床心理士の資格あり、または看護師の資格あり)が遺伝カウンセリングを行っています。
※ゲノム診療科ホームページ抜粋

Q6:検査をすればがんは治りますか?

このがんゲノム診断により、治療効果、診断、予後に関する情報が得られる可能性があります。しかし、この検査を行ってもあなたのがんの診断や治療に有用な情報が何も得られない可能性もあります。そのため、この検査はがんの治療を保証するものではありません。

この検査で得られた結果から、以下の効果が期待されます。

  1. 国内で承認済みの治療薬の情報が得られます
  2. 国内で臨床試験(治験等)中の治療薬の情報が得られます
  3. 国内未承認、海外で承認済みあるいは臨床試験(治験等)中の治療薬の情報が 得られます


Q7:検査後の治療について教えて下さい。

患者さんのがん細胞は様々なゲノム変異をもっています。
検査によってゲノム変異や融合遺伝子が明らかになった場合、効果が期待できる抗がん剤の選択につながる可能性があり、今後の治療に役立つ情報が得られる可能性があります。





Q8:がんゲノム診断の結果は、どのようにして出しているのですか?

がんゲノム検査の結果を医学的に解釈するために専門家会議を開催しています。
その会議には、薬物療法に関する専門的な知識及び技能を有する医師、臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラー、病理医、ゲノム研究者、バイオインフォマティシャン、当該患者の主治医または担当医など様々な専門家が出席します。
そこで検査によって明らかになったゲノム変異や融合遺伝子について、医学的な意義付けをして今後の治療方針について議論しています。

専門家会議のメンバーは こちら からご覧いただけます。このほかにも多くのスタッフが関わっています。

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