TEL. 03-5269-1722
〒162-8666 東京都新宿区河田町8-1
彌生記念教育棟4階
【プロフィール】
1994年3月 東京大学医学部医学科卒
1998年3月 東京大学大学院医学系研究科病因・病理学修了、博士(医学)
1998年5月 東京大学医学部附属病院病理部助手
2001年4月 杏林大学医学部病理学教室助手(助教)
(2004年3月~10月 ドイツ・ギーセン大学留学)
2010年4月 東京医科大学分子病理学講座講師
2013年11月 東京医科大学分子病理学講座(分野)准教授
2022年7月 東京女子医科大学病理学教授
資格:
1994年5月 医師免許
1999年4月 死体解剖資格
2000年8月 日本専門医機構認定 病理専門医(2012年4月 同研修指導医)
2009年12月 日本臨床細胞学会認定 細胞診専門医
2022年4月 日本病理学会認定 分子病理専門医
賞罰:
2003年8月 日本病理学会ドイツ派遣研究員 選任
2012年6月 杏林医学会 第1回学生リサーチ賞 指導
2015年2月 東京医科大学 稲垣教育賞(ベストティーチャー賞)
2016年2月 東京医科大学 稲垣教育賞(ベストティーチャー賞)
2018年2月 東京医科大学 稲垣教育賞(ベストティーチャー賞)
所属学会:
日本病理学会 学術評議員
日本臨床細胞学会
日本癌学会
日本血管病理研究会 世話人
【研究内容】
近年、癌に特徴的な現象として、好気的条件下での解糖(ワールブルグ効果)、脂質やアミノ酸および核酸合成の亢進といった代謝系のリプログラミング(癌代謝)が注目されている。これらの現象は癌細胞の生存に有利に働くと考えられているが、その制御機序および癌の病態における意義は未だ不明な点が多い。これまでに我々は、細胞内代謝のキープレイヤーとして知られるmTOR複合体が、癌代謝の制御やエピジェネティクス変化の調節に関して、中心的な役割を果たすという新規の病態を明らかにしてきた。この特徴的な代謝現象の基盤となる分子機序を詳細に検討し、さらには癌代謝がどのように癌の病態に関与しているのかを明らかにすることで、特に有効な治療法が少ない悪性脳腫瘍への治療戦略へ繋げることを目標とし、分子生物学的手法および包括的OMICS解析を用いて研究を進めている。
【所属学会】
日本病理学会、日本神経病理学会、日本脳腫瘍病理学会、臨床ストレス応答学会、日本組織細胞化学会、日本分子標的治療学会、日本分子生物学会
【資格】
日本専門医機構認定 病理専門医
日本病理学会認定 分子病理専門医
日本臨床細胞学会認定 細胞診専門医
日本神経病理学会認定 神経病理指導医
【専門領域】
神経病理学、脳腫瘍の分子病理
日常の仕事は病理診断業務を主体としていますが、研究面では、福山型先天性筋ジストロフィー (FCMD) の中枢神経病変の解析や、原因遺伝子の機能解析を中心に行なっています。
FCMDは、fukutinを原因遺伝子とし、中枢神経系や眼の形成異常も伴う遺伝性疾患です。脳においては、敷石状脳症といわれる形成異常を示します。脳表面には、星状膠細胞の足突起により形成されたグリア境界膜が存在し、表面は基底膜におおわれているため、星状膠細胞や基底膜に焦点をあてて検討してきました。病理学的には、星状膠細胞におけるfukutinの発現の低下が基底膜の脆弱性をきたし、それによる胎児期のグリア境界膜の破綻と、破綻部からの神経組織の過剰遊走が、脳病変形成の主病因と考えられます。Fukutinが基底膜形成に関与する糖蛋白、-dystroglycan (-DG) への糖転移酵素であることが解明され、この点が裏付けられましたが、fukutinの機能については、まだ未解明な点も残っています。
星状膠細胞は、グリア境界膜形成のみでなく、血液脳関門の形成や、神経細胞との相互作用など、多岐にわたっており、fukutinの発現低下が細胞機能に影響を与える可能性があります。また、神経細胞では、-DGがシナプス機能と関連していることから、fukutinが神経細胞においても重要な機能をはたしている可能性もあります。
一方、fukutinは体内諸臓器の細胞にも発現していますが、FCMDで、なぜ筋肉や神経、眼以外に病変がみられないのかは謎のままです。細胞ごとに、fukutinの役割や調節機構が異なっている可能性があります。In vivoでの免疫染色では、細胞質のほか核にも陽性所見がみられ、培養細胞でRNAiを行うと、細胞形態や増殖能などに変化がみられるため、基底膜形成以外の機能に関わっている可能性もあり、これらの点を明らかにすべく、研究を行なっています。
オステオポンチン (OPN) は分子量約32 kDaの分泌型糖蛋白質であり、最初に同定されたのは骨芽細胞ですが、現在は大多数の有核細胞に発現することが明らかにされています。ヒトのOPN遺伝子は第4染色体長腕に存在し、全長5キロベースで7つのエクソンで構成されます。OPN蛋白は、組織によって異なる糖鎖修飾パターンを示します。また、OPN蛋白分子は、ほぼ中央でトロンビンにより開裂したのち、糖鎖修飾を受けます。N末端側断片は細胞膜結合部位を介して受容体インテグリン発現細胞と結合し、C末端側断片はヘパリン結合部位を介して受容体CD44発現細胞と結合します。OPNは正常組織において細胞外基質のシーズとなって骨形成などに関与しますが、腫瘍組織においても発現することがあります。これまでに、乳癌、メラノーマ、胃癌、頭頸部癌、大腸癌、前立腺癌などで発現が報告されています。我々は、甲状腺乳頭癌およびその培養細胞を用い、腫瘍の増殖、浸潤、転移などにおけるOPNが関与するメカニズムを調べています。
【プロフィール】
学歴
2014年3月 東京大学医学部 卒業
2020年3月 東京大学大学院医学系研究科病因・病理学専攻修了、博士(医学)
医師
医学博士
日本専門医機構認定 病理専門医
日本病理学会認定 分子病理専門医
【研究内容など】
アルツハイマー病(AD)患者脳の病理学的変化として、老人斑とよばれる細胞外へのamyloid β (Aβ)蓄積、神経原線維変化とよばれる細胞内へのリン酸化タウ蓄積、高度な神経細胞死が特徴的です。家族性ADではAβの産生量や凝集能が増加していることから、Aβの異常な蓄積がAD発症の引き金となり、タウのリン酸化や蓄積、周囲の炎症反応など様々な変化を惹起して、最終的に神経細胞死を起こすとする、「アミロイド仮説」が提唱されています。しかし、健常なヒト脳でもAβは産生されており、孤発性ADにおいてAβが凝集性や神経毒性を獲得するメカニズムは不明でした。大学院生の間は、AD脳内でAβと共蓄積する蛋白質CLACや、Aβが凝集を開始する際の核として働くseed分子に着目し、AD脳内でAβ蓄積が開始・進展し、タウ病理や細胞死を引き起こすメカニズムの解明を目指して研究を行ってきました。
卒業後は、病理診断を主に行ってきました。病理医として正確な病理診断を通じて診療に役立てるとともに、診断業務の中で生じた気付きを生かしたような研究ができるよう研鑽に努めたいと思います。
研究課題
1) 科学研究費補助金(特別研究員奨励費)、アルツハイマー病においてAβが凝集性・神経細胞毒性を獲得するメカニズムの解明、2019年4月-2021年3月、課題番号: 19J12600
学術賞
1) 令和元年度日本病理学会100周年記念病理学研究新人賞「脳内でβアミロイドーシスを誘発する可溶なAβオリゴマーの解析」2020年8月20日
学術雑誌
1) 原著
Time to castration resistance is a novel prognostic factor of cancer‑specific survival in patients with nonmetastatic castration‑resistant prostate cancer. 2022/09/28
(著者:Yuji Hakozaki, YutaYamada, Taketo Kawai, Masaki Nakamura, YutaTakeshima, Takuya Iwaki, TaroTeshima, Yoshitaka Kinoshita, Yoichi Fujii, Yoshiyuki Akiyama, Yusuke Sato, DaisukeYamada, Motofumi Suzuki, Mayu Kashiwagi‑Hakozaki, Tetsuo Ushiku, Haruki Kume. 雑誌名、巻・号・頁:Scientific Reports 12, 16202)
2) 原著
Collagenous Alzheimer amyloid plaque component impacts on the compaction of amyloid-β plaques. 2020/12/07
(著者:Tadafumi Hashimoto*, Daisuke Fujii*, Yasushi Naka*, Mayu Kashiwagi‑Hakozaki* (*co-first author), Yuko Matsuo, Yusuke Matsuura, Tomoko Wakabayashi and Takeshi Iwatsubo. 雑誌名、巻・号・頁:Acta Neuropathologica Communications 8, 212-219, 2020.)
3) 症例報告
Combined hepatocellular‐cholangiocarcinoma with angiosarcomatoid change: A case report with immunohistochemical study. 2019/01/23
(著者:Mayu Hakozaki, Shinji Ito, Takeshi Fujii, Yoshitaka Kiya, Harushi Udagawa, Masashi Fukayama, Toshio Fukusato: Combined hepatocellular‐cholangiocarcinoma with angiosarcomatoid change. 雑誌名、巻・号・頁:Pathology international 69(2), 110-116, 2019.)
学会発表
1) 箱崎眞結、牛久哲男、橋本唯史、岩坪威「アルツハイマー病患者脳由来Aβ seed分子のin vivoにおけるAβ蓄積誘発効果の検討」第111回日本病理学会総会、2022年4月14日-16日、兵庫県(日本語、全国規模の学会、ポスター発表、一般、査読あり)
2) 箱崎眞結、牛久哲男、橋本唯史、岩坪威「アルツハイマー病患者脳由来Aβオリゴマーのin vivoにおけるAβ蓄積誘発効果の検討」第40回日本認知症学会学術集会、2021年11月26-28日、東京都(日本語、全国規模の学会、ポスター発表、一般、査読あり)
3) 箱崎眞結、仲泰史、深山正久、牛久哲男、橋本唯史、岩坪威「脳内でβアミロイドーシスを誘発する可溶な高分子量Aβオリゴマーの解析」第110回日本病理学会総会、2021年4月22-24日、東京都(日本語、全国規模の学会、ポスター発表、一般、査読あり)
4) 箱崎眞結、仲泰史、深山正久、牛久哲男、橋本唯史、岩坪威「脳内でβ-アミロイド蓄積を誘発する可溶な高分子量Aβオリゴマーの同定」第42回日本神経科学大会、2019年7月25-28日、新潟県(日本語、全国規模の学会、ポスター発表、一般、査読あり)
5) 箱崎眞結、仲泰史、田尻智也、深山正久、橋本唯史、岩坪威「アミロイド斑蓄積の seed として働く可溶性 Aβ オリゴマーの同定」第37回日本認知症学会学術集会、2018年10月12-14日、北海道(日本語、全国規模の学会、ポスター発表、一般、査読あり)
6) Mayu Hakozaki-Kashiwagi, Yasushi Naka, Tomoya Tajiri, Masashi Fukayama, Tadafumi Hashimoto, Takeshi Iwatsubo: Characterization of the seed Aβ oligomers in the brains of APP transgenic mice. 19th Internarional Congress of Neuropathology, Sep 23-27th, 2018, Tokyo, Japan. (英語、国際学会、ポスター発表、一般、査読あり)
7) 箱崎眞結「Aβ凝集過程でseedとして作用するAβ分子種の探索」第7回 認知症研究を知る若手研究者の集まり、2017年7月29-30日、滋賀県(日本語、全国規模の学会、口頭発表、一般、査読あり)
8) 箱崎眞結、伊藤慎治、福里利夫、藤井丈士「血管肉腫様変化を伴う混合型肝癌と全身転移性微小肺腺癌が合併した1剖検例」第106回日本病理学会総会、2017年4月27日-29日、宮城県(日本語、全国規模の学会、ポスター発表、一般、査読あり)
9) 柏木眞結、荒井誠、伊藤伸朗、中村元信、山本浩之、木下祐加、間中勝則、藤田恵、高橋克敏、大村鷹希、北川陽介、辛正廣、池村雅子、槙田紀子、南学正臣「IgG4関連下垂体炎との鑑別が問題となったリンパ球性汎下垂体炎の1例」第16回日本内分泌学会関東甲信越支部会学術集会、2015年9月25-26日、千葉県(日本語、地方会、口頭発表、一般、査読なし)
10) 柏木眞結、内尾直裕、前川理沙、日出山拓人、椎尾康「急性の球麻痺、呼吸不全で発症し、重症筋無力症とLambert-Eaton症候群が合併した76歳女性例」第216回日本神経学会関東・甲信越地方会、2015年3月5日、東京都(日本語、地方会、口頭発表、一般、査読なし)
11) 柏木眞結、橋本唯史、藤井大資、松尾祥子、掘由起子、若林朋子、岩坪威「脳アミロイド斑構成成分CLACがAβの凝集・蓄積に及ぼす影響に関する検討」 第32回日本認知症学会、2013年11月8日-10日、長野県(日本語、全国規模の学会、ポスター発表、一般、査読あり)
【プロフィール】
≪経歴≫
2010年3月 神奈川大学理学部生物科学科 卒業
2012年3月 横浜市立大学大学院医学研究科修士課程 分子病理学専攻 修了
2016年7月 杏林大学大学院医学研究科博士課程 病理系専攻病理学分野 修了
2016年4月 日本医療科学大学保健医療学部 非常勤講師
2016年8月 杏林大学医学部病理学教室 ポストドクター
2019年4月 国立国際医療研究センター 細胞組織再生医学研究部 特任研究員
2024年4月 東京女子医科大学医学部病理学講座(人体病理学・神経病理学分野)助教
≪研究テーマ≫
・ヒトiPS細胞を用いたテラトーマの形成と再生医療への応用
・甲状腺癌におけるTERTプロモーター領域の点突然変異、rSNP、ADAM10/17についての検討
・膵臓癌におけるCancer Associated Fibrosis(CAF)の新規線維化関連遺伝子の探索
≪所属学会≫
日本病理学会、日本臨床内分泌病理学会、日本甲状腺病理学会、肝細胞研究会
≪受賞≫
2017年 第21回日本臨床内分泌病理学会 研究奨励賞受賞
≪趣味≫
野球、ドライブ、登山(日本百名山踏破挑戦中)
【プロフィール】
臨床検査技師
【プロフィール】
臨床検査技師