小児外科について

小児外科のご案内

小児外科は、出生直後の新生児期から学童期(15歳未満)までの小児の外科的疾患を診断・治療する診療科です。出生後のみでなく、胎児診断された胎児を妊娠中のご両親に対しては、出生後に予想される状況の説明を出生前に行います。また、小児期に手術を行った患児は、成人になっても小児外科医が診療を継続します。一口に小児の外科的疾患と言っても、年齢により体格や疾患は大きく異なり、こどもは大人のミニチュアではないと言われるように、小児医療は高度な専門性をもった領域です。

東京女子医科大学病院小児外科は、都内でも有数の日本小児外科学会認定施設に認定されています。この認定施設とは、日本小児外科学会指導医の在籍、新生児手術数を含めた一定数の手術数、小児科医や麻酔科医の在籍などの厳しい施設基準を満たした施設のみが取得できる施設認定制度であり、高度な小児外科医療と小児外科専門医育成が行い得る施設です。

現在、東京女子医科大学病院小児外科では、頭頚部・呼吸器・消化器・泌尿生殖器・内分泌臓器・体表疾患・小児腫瘍、新生児疾患を中心に、小児の全身にみられる外科的疾患に対して幅広く診療を行っており、年間250件以上の小児外科手術を行っています。この内、新生児・乳児に対する手術は約100件です。先天性の疾患だけでなく、外傷や生後発現する疾患も同じように小児外科指導医・専門医が治療を行います。

当小児外科の特徴として、日本内視鏡外科学会技術認定取得者(小児外科領域)による胸腔鏡、腹腔鏡を用いた小児内視鏡診断・治療が上げられます。小児に対する低侵襲で優しい医療として多くの疾患を対象としており、手術症例全体の約30%を占める小児内視鏡外科手術には30年以上の実績があります。先天性食道閉鎖症、先天性胆道拡張症、先天性横隔膜ヘルニア、ヒルシュスプルング病、鎖肛、腎盂尿管移行部狭窄症などの小児外科を代表する新生児・乳児疾患に対しても、内視鏡外科手術が標準手術として行われています。

また、東京女子医科大学病院では小児科、腎臓小児科、循環器小児科、母子総合医療センター新生児科、脳神経外科(小児部門)などの院内小児関連各科との密接な協力体制が構築され、高度な小児チーム医療が行われています。小児関連各科には非常に重症な症例が多く、それらに合併する小児外科疾患の診断・治療は極めて困難でありますが、このような重症例にこそ、こどもの未来を考えた低侵襲で優しい医療が必要であると考え、小児チーム医療における外科部門の中心的役割を担っています。

東京女子医科大学附属足立医療センターでの小児外科診療も担当しており、外来診療・検査と手術を行っています。手術は、疾患に応じて東京女子医科大学本院での手術、または足立医療センターでの手術を検討し決定しています。

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小児外科で取り扱う疾患

頭頚部疾患
舌小帯短縮症、甲状舌管遺残、鰓裂遺残(食道梨状窩瘻、耳前瘻孔)

縦隔疾患
縦隔腫瘍、重症筋無力症

肺疾患
気胸、肺分画症、先天性嚢胞状腺腫様奇形、副肺、肺腫瘍

横隔膜疾患
先天性横隔膜ヘルニア、横隔膜弛緩症

胸郭・胸腔疾患
漏斗胸、乳糜胸、膿胸

消化管疾患
食道アカラシア、先天性食道閉鎖症、先天性食道狭窄症、食道裂孔ヘルニア、胃食道逆流症、肥厚性幽門狭窄症、胃軸捻転症、十二指腸潰瘍穿孔、先天性十二指腸閉鎖・狭窄症、腸回転異常症、メッケル憩室、臍腸管遺残症、腸管重複症、腸重積症、虫垂炎、潰瘍性大腸炎、直腸脱、乳児痔瘻、肛門周囲膿瘍、裂肛、ヒルシュスプルング病、鎖肛、内ヘルニア、癒着性腸閉塞

肝胆膵脾疾患
肝嚢胞、胆道閉鎖症、先天性胆道拡張症、胆石症、膵良性腫瘍、輪状膵、副脾、遊走脾、遺伝性球状赤血球症、血小板減少性紫斑病、門脈圧亢進症

泌尿生殖器疾患
副腎腫瘍、水腎症、腎盂尿管移行部狭窄症、膀胱尿管移行部狭窄症、膀胱尿管逆流症、無機能腎、馬蹄腎、精索静脈瘤、停留精巣、遊走精巣、精巣捻転、急性陰嚢症、卵巣捻転、卵巣腫瘍、新生児卵巣嚢腫、尿膜管遺残症、総排泄腔症、性分化異常症、陰唇癒合症

その他
鼠径ヘルニア、臍ヘルニア、白線ヘルニア、大腿ヘルニア、リンパ管腫、血管腫、乳糜腹水、腹部鈍的外傷、、急性腹症、腹腔内異物、腹腔内腫瘍、腹腔内膿瘍、腹膜透析カテーテル挿入疾患、腹腔内カテーテルトラブル