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概要

シンシア10号

施設将来計画・シリーズ2新校舎棟一号館の歴史とデザインを継承した新たな学舎東京女子医科大学のシンボルとして親しまれてきた一号館は2015年、隣接する二号館・臨床講堂とともに85年の歴史に幕を閉じた。その跡地に建てられるのが新しい校舎である。2020年春の完成をめざし、建設の槌音が響き始めている。東京女子医科大学の肥塚直美理事(新校舎棟検討部会の責任者)。医学部と看護学部の学生たちが日々交流新しい校舎(新校舎棟1)は、施設将来計画諮問委員会(委員長:岩本絹子副理事長)のもとで検討されており、その基本コンセプトは「医学部と看護学部の協働教育の場と教室(講座)の垣根を越えて」である。現在、医学部と看護学部の校舎は別々にあるが、これを一体化し、両学部が新しい校舎内で交流できるようになるのが最大のポイントだ。諮問委員会の新校舎棟検討部会の責任者である肥塚直美理事は、「チーム医療が叫ばれている中、医学部と看護学部の学生が日頃から交流することは大きな意義があります」という。看護学部の1年生は、静岡県掛川市の大東キャンパスで1年間を過ごすが、2020年度以降は1年次から新しい校舎で先輩たちと一緒に学ぶことになる。新校舎棟は地上7階・地下2階建て・延べ面積1万9,000m2で、1階入口のすぐ脇には「吉岡彌生記念室」が設けられる。ここには女子医大の創立者・吉岡彌生の写真と「至誠と愛」の大学の教育理念が掲げられ、学生や教職員たちは毎日それを目にしながら校舎に入るようになる。また、記念室には女性医師の歴史に関するコーナーを設けるなど、女子医大ならではの企画も盛り込まれる。1階にはそのほか、図書館とラーニングコモンズ(学習スペース)も設置される。2・3階は医学・看護両学部の講義室のほか、テュートリアル室、小グループ学習室、食堂などで構成される“学生ゾーン”となる。食堂はカフェ風のインテリアとすることにより、食事だけでなく学生たちの憩いの場・活動の場としても利用できるようにし、文字どおり交流を象徴する空間となる。オープンなつくりが自慢の教職員ゾーン4・5階は両学部の“教職員ゾーン”となるが、研究デスクや実験エリアをオープンなつくりにして共有・集約化するのが大きな特徴である。「最初は反対の声もありましたが、“教室(講座)の垣根を越えて”というコンセプトを具現化する斬新なつくりで、新校舎自慢のスペースになるはずです」と肥塚理事は強調する。また、「地下1階に専用の出入り口を設けた院内保育所を設置するのも目玉の一つ」だという。新校舎棟は、歴史と伝統のある女子医大にふさわしい外観・景観を呈するよう、一号館をイメージさせるデザインを継承するのが特筆される。茶褐色のタイルが重厚感を醸す外観、印象的だった庇のデザインを帯状に配するエントランス側の壁面、吉岡彌生記念室に施される丸みを帯びた優雅な窓、そしてシンボルツリーのヒマラヤスギを生かした緑ゆたかな景観。新たな学びのステージとなる新校舎には、次代を担う多くの学生が集い、活躍する女性医療人として巣立っていくことだろう。なお、実験動物施設や解剖施設の集約化を図るため、現在看護学部の敷地内にも地上4階・地下1階建て校舎(新校舎棟2)の建設が進められている。この新校舎棟2は2019年秋に完成する予定である。女子医大のシンボルだった一号館。18 Sincere|No.10-2018