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概要

シンシア10号

80年以上前に植樹された桜が咲き乱れるJR国立駅南口に降り立つと、3本の道路が放射状にまっすぐ延びているのが見てとれる。右側が南西に延びる富士見通り、中央が南に延びる大学通り、左側が南東に延びる旭通りである。この3本の道路は、西武グループの創始者・堤康次郎が設立した箱根土地(旧コクドの前身、現在のプリンスホテル)により、国立駅開業(1926年)に合わせて整備された。そして、国立の中心部はこの3本の道路を軸にしながら、整然とした街並みが形成されてきた。メインストリートの大学通りの名称は、東京商科大学(現・一橋大学)が誘致されたことに由来する。神田・一ツ橋にあった同大学が、1923年の関東大震災によって甚大な被害に遭ったため、国立に新校舎が建てられ、1927年に移転したのである。国立駅から大学通りをしばらく進むと、一橋大学のキャンパスが通りをはさんで両側に広がる。さらに通りを進むと、1980年に都立高校として初めて全国高校野球選手権大会(甲子園球場)に出場した国立高校がある。1934年、前年の明仁親王(今上天皇)誕生を祝して通りの両側に桜が植樹された。国立を“桜の名所”と知らしめるようになったのは、これがきっかけだった。毎年春になると、交差するさくら通りとともに咲き乱れるみごとな桜並木は、一見の価値がある。学問の神様が祀られた文教地区の象徴一橋大学をはじめ多くの学校が立地するようになった国立は学園都市として発展し、1952年、東京都内で初めて文教地区に指定された。当時はまだ国立町だったが、1967年に国立市となった。大学通りを南下して南武線の踏切を渡り、甲州街道に突き当たったところにあるのが谷保天満宮(12ページの地図?)である。学問の神様・菅原道真が祀られており、湯島天神、亀戸天神と並ぶ“関東三天神”の一つである。受験シーズンともなれば、合格祈願をする受験生の参拝が後を絶たない。谷保天満宮は“交通安全発祥の地”としても知られる。1908国立駅南口からまっすぐ南へ延びる大学通りは“桜の名所”として名高い。大学通りに点在するアート作品。通りに彩りを添える瀟洒な街路灯。Sincere|No.10-2018 11