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概要

シンシア No.7

医療現場最前線レポートCPAP(シーパップ)の空気圧設定について取扱業者から説明を受ける1泊入院患者さん。臨床検査技師の井上裕司主任と里谷夏海さん。「ナルコレプシーは10代に発症することが多く、日本の患者さんは600人に1人程度とされています。小中学校ではまだナルコレプシーに対する理解が乏しく、その生徒がいじめの対象となってしまうケースも見受けられます。先生方や保健師さんには、この病気への理解を深めていただきたいですね」と鈴木医師は訴える。昼間の眠気を客観的に評価し、過眠症の診断を行うのが睡眠潜時反復検査(MSLT)である。この検査は、夕方入院して夜間に前述のPSG検査を行ったあと、翌朝9時から夕方まで2時間おきに昼寝をしてもらい、眠気の程度を検査するというものだ。「ナルコレプシーは、覚醒を維持するオレキシンの分泌が減少することによってもたらされることが明らかとなりましたが、その根治療法はまだ開発されていません。治療は対症療法が主体となり、睡眠発作には覚醒を促し眠気を抑える薬や、情動脱力発作、入眠時幻覚、睡眠麻痺の症状に応じてレム睡眠を抑える薬を処方します。昼間に強い眠気を感じたときは、5~10分の“うたた寝”をすると爽快感が得られ、しばらく眠気は治ります。ナルコレプシーは覚醒維持障害のため、計画的な“うたた寝”は有効です。さらに、夜間の睡眠時間を確保することや規則正しい生活をするなど、睡眠衛生を整えることが重要です」と鈴木医師は強調する。睡眠、ノンレム睡眠は脳の睡眠として知られる。ノンレム睡眠には浅い睡眠から深い睡眠まであるが、夜間に熟睡ホルモンといわれるメラトニンの分泌が高まり、睡眠前半に深睡眠が多く出現する。このときに成長ホルモンが分泌されて身体組織の修復が行われ、ストレスが解消される。「同じ睡眠時間でも、深睡眠やレム睡眠が足りないとぐっすり眠った気がせず疲労感が残ってしまい、ストレス状態に陥りやすくなります。また、深睡眠時に血糖を処理するホルモンがよく働くことが知られ、その時間が短いと糖尿病や高血圧などの生活習慣病を誘発する可能性が高くなります。ですから、睡眠障害の治療は生活習慣病の予防にもつながるわけです。実際に、生活習慣病の患者さんが睡眠科の治療を受け、その症状が改善したというケースが少なくありません。今後、他の診療科との連携をいっそう深め、睡眠障害や生活習慣病の早期発見・治療に努めていきたいと思っています」と、鈴木医師は熱く語った。睡眠障害治療は生活習慣病の予防・改善にもつながる前述のように睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があり、レム睡眠は体の睡眠科の関係者20人が出席して行われた睡眠科会議。20 Sincere|No.7-2017