ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

シンシア No.6

腹腔鏡による肝臓の検査。細胞培養と遺伝子検査の様子。コール性脂肪肝疾患(NAFLD)の研究でも大きな成果を上げている。肝臓の中に中性脂肪が過剰にたまった状態を脂肪肝といい、その大きな原因の一つとしてアルコールの飲み過ぎがあげられる。だが、アルコールを飲まない人でも脂肪肝を発症するケースが少なくない。これがNAFLDである。肝臓グループでは、徳重教授を中心にNAFLDの診断・治療に精力的に取り組み、その肝生検数、NAFLD由来の肝細胞がんの症例数はいずれも国内随一を誇っている。そして、消化器病学会と肝臓学会でのNAFLDに関するガイドライン設定において中心的な役割を果たすなど、オピニオンリーダー的な存在となっている。今後もNAFLDの新たな分類と診断法の確立をめざしていく方針だ。肝臓グループでは、肝細胞がんの治療法として肝動脈塞栓術が多く行われているのが特徴の一つである。肝動脈塞栓術は血管造影装置を用いて、大腿動脈から肝細胞がんに血液を供給している肝動脈にマイクロカテーテルを進め、抗がん剤を流してがんを集中攻撃するとともに、塞栓物質を注入して肝細胞がんへの血流を止めるという治療法である。消化器病センターでは内科・外科合わせて年間約250例の肝動脈塞栓術を行っているが、このうち8 0例ぐらいを内科が占めている。肝動脈塞栓術を専門としている鳥居信之講師は、「内科では手術が困難な高齢者や、がんが複数あって手術では対応できないような症例を担当しています。がん患者さんは減ってきているものの高齢化しており、合併症を抱える患者さんも増加しています。ですから、肝動脈塞栓術のニーズは多くなってくると思われ、治療成績の向上に努めています」という。肝臓グループではこのほか、ラジオ波凝固療法も行っている。これは、超音波画像でがんの位置を確認しながら、専用の細い針を皮膚の上からがん組織に刺し、ラジオ波を流してがんを焼灼するという治療法で、年間約100例を数える。世界的な業績を上げている膵臓・胆道グループ1969年、消化器病センターは世界で初めて内視鏡的膵胆管造影に成功血管造影装置による肝動脈塞栓術を行う鳥居信之講師。08 Sincere|No.6-2016