ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

シンシア No.6

新生児・小児用気管支ファイバースコープ。1.4mmの外径は世界一の細さ。のが気管支鏡(気管支ファイバースコープ)による気道病変の検査である。その件数は、院内検査と往診検査を合わせて優に年間1,000件を超える。もちろん断トツである。これだけの件数をこなしている医療機関はほかにはない。これを可能にしているのが、太さや機能が異なる数種類の新生児・小児用気管支鏡である。これらのほとんどは、長谷川教授が主導して開発したものだ。「まだ新生児用の気管支鏡がなかった頃、いくつかの医療機器メーカーに製作を依頼しました。ことごとく断られましたが、1社だけ毎月1本、プロトタイプを製作してくれました。それを一緒に検討して改良を加えるということを何度も繰り返し、2年がかりで世界一細く、自由自在に曲げることができる気管支鏡を開発しました」と長谷川教授。その外径は1.4mm。驚異的な細さだ。このように、長谷川教授は新生児・小児用気管支鏡の開発に自ら関わり、赤ちゃんの体格や検査の目的によって気管支鏡を使い分けるノウハウを蓄積しているからこそ、年間1,000件超の検査に対応できるのである。同じように長谷川教授が医療機器メーカーとともに開発した例として、新生児用の気管切開チューブがあげられる。ある講演で、「従来の気管切開チューブを新生児に用いると肉芽ができて呼吸困難になる例があるため、長さを調整できる新生児呼吸器疾患のプロフェッショナルとして知られる長谷川久弥教授。素材のよい気管切開チューブが必要」と話したことがきっかけとなり、当該メーカーとともに開発に着手。困難をきわめたが、長さを変えられる理想的な可変式シリコン製気管切開チューブ(アジャストフィット)の製品化にこぎつけた。これにより、気道病変の管理が大きく前進したという。難治性呼吸器疾患診療への新たなチャレンジ長谷川教授は、難病指定されている先天性中枢性低換気症候群(CCHS)の研究代表者を務め、画期的な管理法を打ち出していることも注目されている。CCHSは、呼吸中枢の先天的な障害により、主に睡眠時に無呼吸・低換気をきたす疾患で、新生児期での発症が多い。呼吸中枢への有効な治療法がないため長期的な人工呼吸難治性気道病変に対してレーザーを用いた治療も行っている。スタッフ全員が集まって行われるカンファレンス。Sincere|No.6-2016 15