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概要

sincere no05

世界的なインスリンメーカーが糖尿病センターを視察2015年10月、糖尿病分野を主体とした世界的な製薬企業、ノボノルディスク社の幹部が糖尿病センターを訪れた。メンバーはデンマーク本社から13人のほか、アメリカ法人から2人、スイス法人から3人、日本法人からも3人の総勢21人。内潟教授から施設の説明を受けた一行は、総合外来センター3階の糖尿病センター外来などを視察した。ドクターでもある本社メディカル部門の責任者、クリスティーナ・ブラウン・フランセンさんは、「これまで世界各国の病院を視察してきましたが、これほど設備の整った糖尿病施設を見たのは初めてです。外来には内科の各専門外来ブースが整然と配置され、効率的な診療が行われていてとてもワンダフル。スタッフがフレンドリーで、患者さんの表情が明るいのにも感動しました」と、興奮さめやらぬ表情で語ってくれた。糖尿病眼科の北野滋彦教授。悪化するケースがあります。ですから、内科の先生に全身のケアをお願いしたうえで手術を実施しています。複数の合併症がある場合は、それぞれの主治医と連携して手術に伴うリスクを可能な限り軽減して行います」と、北野教授は各専門グループとの連携を強調する。糖尿病センターを訪れる患者数は月平均8,000人強、年間では10万人超にも及ぶ。もちろん、この数字は我が国の病院の中でトップ。世界で最大のインスリン使用者数を擁しているのも、ここ糖尿病センターである。また、30歳未満で発病した1型糖尿病患者さんの調査では、糖尿病センターへの通院歴があると死亡への危険度が3分の1に、腎不全への危険度が5分の1に低下するというデータもある。糖尿病センターがいかに優れた医療施設であるかを物語っている。チーム医療で成果を上げる腎症・糖尿病妊娠・足病変グループ内科の専門グループのうち腎症グループは、腎臓外科との連携によるチーム医療で1型糖尿病患者さんの膵腎同時移植を行っている。膵腎同時移植は我が国において年間約30例を数えるが、このうち女子医大は昨年が7例、一昨年が6例を占め、これまで累計で42例と国内屈指の症例数を有している。また、腎移植後膵移植も累計で11例を数える。馬場園哲也准教授は、「移植を希望される患者さんは日本臓器移植ネットワークに登録する必要がありますが、登録申請の段階から腎臓外科と相談し、移植するときも手術前後の血糖管理を一緒に行います。もちろん、手術中も我々スタッフが患者さんに付き添って血糖を管理します」と、腎臓外科との連携について語る。また、腎移植のときは泌尿器科とも連携しているとのことだ。糖尿病妊娠グループは糖尿病眼科のほか、産科、新生児科、糖尿病療養指導士の資格を持つ看護師や助産師、管理栄養士などが連携して患者さんのトータルケアに当たっている。かつて、糖尿病を持つ女性の出産は難しく、死産や妊婦さんの死亡といった不幸なケースも少なくなかった。そのため今日では、事前に網膜症や腎症などの合併症を治療し、血糖値を改善したうえで受胎する“計画妊娠”が推進されている。「糖尿病の女性が安心して出産するには、ご主人やご家族の協力が欠かせません。妊娠中は厳格に血糖コントロールを行うため、ときには低血糖に陥ることがあります。そうしたときの対応を含め、診療のほかに月に1回、妊婦さんとご家族を対象とした糖尿病妊娠の勉強会も開いています」と、柳澤慶香講師が家族を含めた医療の必要性を強調する。出産時には、糖尿病妊娠グループの主治医が産科病棟に出向いて立ち会い、産後すぐに新生児科の医師が診察する連携体制が整えられている。妊娠前の相談から出産後の新生児検診まで、診療科を横断した“チーム医療”が妊婦さんを支えているのだ。病棟には専用の透析ユニット5床を備えている。入院患者さんを対象とした集団栄養指導の模様。08 Sincere|No.5-2016