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概要

sincere no05

組みを大学全体で進めるべく、本部内に「医療安全・危機管理部」を設置しました。医療問題を大学全体で共有して再発防止につなげ、医療安全を促進しようというのが狙いです。「ご意見箱」を設け組織風土を刷新田邉「ガバナンス改善」では、医学部教授会と主任教授会を医学部教授会に一本化するとともに、主任教授の呼称・職位を廃止して教授職位に統一しました。また、スピーディーな意思決定が求められる今の状況下で、(昨年6月から)理事長が学長を兼任することになったのは適切な選択だったと思います。吉岡主任教授制度は混乱を招いた原因の一つでもあり、第三者評価委員会からも廃止するよう強く求められ、改革を断行しました。また、私が学長を兼任することになったのは、混乱を収束させていくためにそうする必要があると判断して立候補した結果です。が、いずれは分離するべきだと思っています。田邉「組織風土刷新」では、全教授の20%強にとどまっている女性教授の割合を30%に引き上げるとしていますが、個人的には50%が妥当だと思っています。ビジネス界を見ても女性管理職が増えており、優秀な女性はどんどん登用していくべきです。吉岡女性の社会的地位の向上は建学の精神にも関わってくることであり、積極的に推進すべきだと思っています。女子医大はいち早く男女共同参画推進局を立ち上げ、主として卒後のキャリア形成を支援する環境づくりに取り組み、社会を先導するような女性の育成を図ってきました。そうしたことを卒前教育にも取り入れていきたいと考えています。学内のイントラネットに「理事長室」のサイトと「ご意見箱」を設置したのも、風土刷新の一環からです。「理事長室」はアクセスしやすくし、大学運営の方針や重要事項を発信しています。「ご意見箱」は6,000人の教職員とのコミュニケーションツールでもありますから、どしどし活用してほしいですね。田邉病院でも「ご意見箱」を設けていますが、重要なポイントをついた意見が送られてくることも少なくありません。こちらから「医療安全について気がついたことを提案してください」というように語りかけていけば、もっと活用が促進され、ひいては医療安全文化の醸成にもつながっていくだろうと考えています。これまで以上に社会に貢献吉岡「施設整備計画推進」については、「施設将来計画諮問委員会」の下、医療施設と教育施設を新しくしていくプロジェクトを進めています。併せて、災害に対する備えや耐震補強などもしっかりやっていく必要があります。新しい医療施設は、安全な医療と女子医大のさまざまな高度医療をきちんと提供できるものでなければなりません。また教育施設は、学生のときから医療現場で働く人たちと一緒に医療を学べるようなものにしたいと考えています。田邉病院としては、老朽化した病棟の建て替えが大前提となります。限られた敷地内での建て替えや、特定機能病院の承認取り消しをはじめとする不利な条件が重なった中での施設整備となりますが、その中でもやれることはたくさんあります。むしろ、ピンチのときのほうがチャンスはたくさんある。その意味で、今は千載一遇のチャンスだととらえています。そのチャンスをどう生かすか、知恵を絞って「1+1」が「2」ではなく「5」にもなるように工夫することが大切です。そういうところからイノベイティブなシステムも生まれてくると思います。吉岡女子医大は多くの入学志望者があるように、教育面では高い評価を得ています。研究分野においても多くの視察などがあり、医療でも女子医大にしかできないことがたくさんあるほか、信頼してくださる患者さんも少なくありません。そういった財産を維持しながら施設整備を進めていく方針です。田邉女子医大は今、大きな改革・改善にチャレンジしています。おそらく1年後くらいには、目に見える形でその成果が現れてくるでしょう。大きく生まれ変わる女子医大に、ぜひ期待していただきたいと思います。吉岡女子医大はまもなく創立120周年を迎えます。今は教職員一丸となって大学再生に取り組んでいますが、これまで以上に社会に貢献できる大学となるよう、さらに進化していく決意です。Sincere|No.5-2016 21