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概要

シンシア 2014.No.3

協定校が認定することになる。派遣留学生は毎年20人前後を数えるが、これは5学年生全体の約2割に相当し、留学する学生の割合が比較的高いといえる。もともと海外留学に前向きな学生が少なくないが、中には交換留学制度を活用するために女子医大に入学するという目的意識のはっきりした学生もいる。ちなみに、女子医大の海外交換留学プログラムは文部科学省の留学生交流支援制度に採択されており、特に高い評価を受けた特色のあるプログラムとして広く紹介されている。女子医大は2012年10月、日本で初めて国際外部評価団に医学部の評価を依頼し、「世界医学教育連盟のグローバルスタンダードを満たしている」との評価を得ている。交換留学を中心としたこれまでの国際交流の実績が、そうした評価につながる要因の一つになっていることはいうまでもない。日本食パーティーで交流を深めるでは、留学を経験した女子医大の学生たちは具体的にどのような成果を上げカーディフ大学の教授・学生たちと。ブリュッセル自由大学でのプレゼンテーションシーン。ブリュッセル自由大学のキャンパス風景。ているのだろうか。昨年派遣された学生たちの声を拾ってみよう。イギリス・カーディフ大学に留学したY.K.さんは、「イギリスでは医学部の学生の60%が女性だと聞いて驚きました。GP(ホームドクター)制度に興味があってイギリス留学を選びましたが、地域住民の健康状態を把握しているGPは、住民にとって非常に安心できる存在だと感じました」と、本場のホームドクターに接した感想を述べる。ベルギー・ブリュッセル自由大学に留学したM.E.さんは、「ベルギーの学生が日本の研修医と同等の役割を担っていることにまず驚きました。学生が患者さんを受け持ち、毎日診察するという繰り返しの中から実践的に医療を学んでいました」という。また、「患者さんの出身地がベルギーのみならず、国境を越えて医療がなされていたり、安楽死が合法であるなど、新しい発見の毎日でした」と振り返る。M.E.さんは一緒に留学したK.S.さん、M.S.さんとともにアパートで自炊生活をしたが、現地の先生や学生から食事に誘われるケースも多く、ベルギー文化を肌で感じることができたという。3人は逆にベルギーの学生をアパートに招き、ちらし寿司や肉じゃが、そばなどの日本食パーティーを開くなどして交流を深めた。自分に足りないものが見えてくる部活の先輩からアメリカ・コロンビア大学への留学体験談を聞き、自分もコロンビア大学へ留学したいとの思いを強くしていたY.S.さん。その念願がかない、憧れのコロンビア大学に留学した彼女は、「英語の環境下で2か月過ごしたことにより、精神的に成長することができました。日々出会いが多く、先生や患者さん、学生など新しく出会った人と話すのがとても楽しく感じられ、自分が何を学びたいかをきちんと考えて主張することができるようになりました」という。留学先の学生を招いて日本食パーティー。コロンビア大学メディカルセンターのメインゲート。マウントサイナイ医科大学でのカンファレンスシーン。そして、「毎日通っていたメディカルセンターの入口に掲げられている“Amazing things are happening here”という文字を目にし、本当にすばらしいことがここで起きていたのだと実感しました」と述懐する。アメリカ・マウントサイナイ医科大学に留学したR.Y.さんは、「私たちはアメリカのアグレッシブさを見習うべきだと痛感しました。言語の壁や医学の知識以上に、病棟における医学生の役割の大きさやその姿勢に感銘を受けました」と、自分に足りないものが見えてきたことが大きな収穫だったと語る。彼女は一緒に留学したM.I.さんやコロンビア大学に留学した学生らとともに、ボストン周辺に在住している女子医大出身の先輩たちが留学生のために毎年開催している“Boston会”にも出席。「アメリカで働くことのメリットなど、先輩方の経験談はとても参考になりました」と、Boston会が有意義だったことを強調する。海外留学を経験した彼女たちは、こうした国際交流を契機にひと回り大きく成長していくのである。Sincere|No.3-2015 19